4-2
「ちょっと待て。」
「何?何か問題でも?」
その晩、真雪は健太郎の部屋を訪ね、いきなりヌードモデル依頼の話を切り出したのだった。
「問題大ありだ。」
「なんでよ。単純に服を脱いで立ってればいいだけじゃん。」
「そ、そんな簡単にいくか!だいたい、」
真雪は赤くなって主張する健太郎の言葉を遮って言った。「これが逆の立場だったら大問題だろうけど、ケン兄が裸でモデルになるわけでしょ?何の問題もないじゃん。」
「そ、そんなこと言っても・・・・。」
「協力してあげなよ。うちの学校の偉大な芸術家のためにさ。それとも何?」
「何だよ。」
「モデルやってるうちにムラムラきて、春菜を押し倒しそうになる、とでも言うの?」
「そんなわけあるかっ!」
真雪は立ち上がった。「じゃあ、今度の土曜日に、下の暖炉の前でね。」
「か、勝手に決めるな!」
部屋のドアを開けて振り向いた真雪は念を押すように言った。「こうでもしなきゃ、ケン兄いつまでも動かないでしょ。逃げないでね。」
「お、おまえなあ・・・・。」
「何っ?!ヌードモデルっ?!」修平が大声を出した。
「ばかっ!大声を出すなっ!」健太郎が慌てて修平の口を押さえた。ここは学校の食堂である。
「春菜さんもやるねー。」
「だよな、オトコの裸をスケッチする、なんて普通女子高生は考えないよな。」
「とか何とか言って、実はおまえ、嬉しいんだろ?」
「なんで俺が嬉しがらなきゃなんないんだ。恥ずかしいだけだろ。」
「俺なら潔く脱ぐけどな。」
「おまえと違って、俺は恥を知ってるんだよ。」
「俺と夏輝も行って、見てていいか?」
「来るな。」
「おもしろそうじゃん。」
「絶対来るな。」