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翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

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接触-1

雷鳴とどろき・・・稲妻走るこの国の主は、
起伏のはげしい山の上に築いた城に住んでいる。



「・・・相変わらずな天気だな」



「しょうがあるまい。これが雷の国と言われる由縁だ」



切り立つ岩肌をかわして城門へと向かう。


武装した門番がふたりの姿を確認し、声をあげて叫んだ。



「ティーダ王、マダラ王のお通りだ!!
門をあけよ!!」



重厚な門がひらき、ふたりは歩みをすすめる。
左右に並ぶ家臣たちがうやうやしく頭を下げている。



「エデンはいるか」



ティーダは近くの家臣に訪ねた。



「はっ!!
エデン様はただいま留守にしております、間もなく戻られるかと思いますが・・・」



「そうか・・・では待たせてもらおう」



案内され奥の間に通される。
飾りのない城内は冷たい印象をうけるつくりだ。



(悪趣味とは言わないが・・・マダラの城といい勝負だな)



横目でマダラを見やると、



「・・・何か言いたそうだな」



「お前もエデンも似たような城だと思ってな」



「・・・否定はしない」



柱に寄りかかったティーダが外を見ている。どこまでも稲妻がほとばしる空をみてため息をついた。



「ため息?まったく・・・失礼なやつだ」



扉がひらいて癖のあるブロンドの髪のエデンが現れた。切れ長の目に彫刻のような美貌をもち、姿は二十代後半ほどで落ち着いた雰囲気をまとっている。彼は在位三百年を越えている王だ。

ティーダはエデンに近づき真っ直ぐに彼を見つめた。


「・・・人界の王について聞きたいことがある」


「・・・なに?」


「エデン・・・そなたの知っている人界の王のことを聞かせてくれぬか」



「お前たちが人界の王に興味を示すとは思わなかった・・・どういう心境の変化だ?」



言いよどむティーダをよそにマダラが口を開いた。



「人界の王が・・・この世界に生を受け、覚醒した」


「・・・・・・冗談だろ?」


「悠久に生まれ・・・キュリオが娘として育てていた」



「・・・今はどこにいる」


「悠久の城だ」


「・・・確かめる必要があるな」



「待て・・・、アオイはなぜ死んだ・・・?人界で何があった?」



ティーダがエデンに詰め寄る。



「アオイ・・・だと?」



「ああ、キュリオが付けた名前らしいがな。ここの世界ではそう呼ばれている」






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