王国の鳥-13
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ツミの里にも建国の記録がある。
口伝てに伝えられ、外の者が知ることのない神話だ。
東海の彼方に存在したアガラの島に、ツミの一族と人の一族が住んでいた。
ツミの長と人の長は互いに厚い友情で結ばれていた。
ゆえに、海底の変動による島の滅びに直面して、ツミの長は島民の脱出船を遙かな大陸まで導いたという。
あとの流れは、ロンダーンで一般に知られるものと変わりない。
島民らは一羽の鳥に導かれ、たどりついた地を我が領土と定め、今日まで続く千年王国を建国した。
ロンダーン建国記では、神の使いに比された鳥は、小さな白い猛禽の姿をしていたという。
そして、ロンダ―ン王家は鳥使いの末裔とも言われている。