生前-1
・・・ほんの数時間前までアオイがいた部屋にマダラとティーダが腰をおろしている。
・・・人界の王であるアオイの魂は輪廻。何度生まれ変わっても人界の王以外の運命は存在しない・・・
(この世界にアオイが生まれ出たということは・・・向こうで命を落としたのか・・・)
「・・・マダラ、この世界に来る前のアオイに何が起きた?」
「・・・彼女が転生するのは初めてではない。先代の死の王が『人界の偉大なる王が己の世界を守るため命を落とした・・・』と口にしたことがある」
「それは遥か昔の話だ・・・この世界にくる直前に何があったかは・・・エデンに聞くしかあるまい」
「・・・世界を守るため・・・」
(あの小さな体にどれほど大きな使命が架せられているのか・・・)
アオイの笑顔が脳裏に浮かび、ティーダの胸は握りしめられたように痛んだ。
「神もひどいことしやがるぜ・・・
アオイに惹かれた野郎どもを生殺しにする気かよ・・・」
「・・・“人界の王の証”が出現したからには・・・刻まれた記憶がよみがえるのも時間の問題だろう」
「俺の弟を・・・トワをかばったせいで・・・」
「それは違う。
彼女は王として目覚める時がすぐそこまで来ていた」
「・・・人界の王として即位したのがあの年頃だったんだろう。魂をのぞいたとき・・・光の中眠るアオイが同じ姿をしていた」
「・・・そうか」
「・・・エデン・・・会う必要がありそうだな」
「・・・ああ」
小さな手がかりでもいい。
アオイを諦めきれぬティーダはマダラとともに雷の国へと飛び立った・・・