記憶-1
・・・城内が静まった真夜中。
月の見えるテラスに出ていたアオイは遠くを見つめている。
(・・・あのとき、初めて翼が現れたとき・・・確かに何かが見えた気がする)
(考えようとしてもうまくまとまらない・・・ただ、大切な何かを忘れているような・・・)
「・・・どうした?」
背後から声がして、キュリオの大きな腕がアオイを抱きしめた。
「・・・キュリオ・・・」
キュリオは愛しげにアオイの頬に唇を寄せた。
「・・・・・・」
キュリオの唇がこめかみに移動する。
「・・・私、何か忘れているみたい」
戸惑いながら言葉を発すると、キュリオの手がより一層強くアオイを抱き締めた。
「・・・前の記憶なんてどうだっていい。そんなのお前には関係ない・・・」
「お前はこの悠久に生まれて・・・これからもずっと私とここで暮らすんだ・・・」
「キュリオ・・・」
「・・・私は永遠に君を手放したくない」
「私の愛は君のものだ」
「アオイ・・・君の愛は・・・?」
「・・・・・・」
アオイはキュリオを直視できず、目を背けてしまった。
「・・・っ」
キュリオはアオイを抱き上げ自室へと足を向けた。
「あ、あの・・・っキュリオ?」
「・・・・・・」
キュリオは無言のまま部屋の扉をあけ・・・アオイをベッドに押し倒した。