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アケミの岐路、アケミの選択
【大人 恋愛小説】

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アケミの新しい道-1

アケミが今の会社に入社してから3年の月日が経とうとしていた。

つまり社長との深い関係が3年も続いているということだ。

このところアケミはこの関係について深く考 えるようになっていた。

(アケミの愛する人には奥さんが居る。それも…)

アケミが一度社長の家をコッソリと見に行ったことがあった。その時に社長と一緒に、庭仕事をする美しい奥さんを見て衝撃を受けた。談笑する2人、会社では見せない社長のにこやかな表情を見て、到底太刀打ちできないと思ったのだ。

それ以降、アケミは傷つくことを恐れて、気になりつつも社長の私生活を知ろうとすることを止めた。

一人暮らしの夜は考える事が多い。特に床に就いて眠るまでの間は 不安に思うことも多くなっていた。

(30の足音が近づいて来たのに、いつまで もこんな関係を続けていたらどうなるんだろう)

そのくせ、自分からそれを断ち切ることもできずに、ズルズルと関係を続けてしまい、今に至ってしまった。

「惚れた弱みか…」

苦笑を浮かべながらつぶやきつつ、そして日増しに不安を大きくしていった。

一度社長から距離を取って冷静に考えようとは思いはするが、会うたびに社長に対する強い思いが勝り、自然と体は開いてしまうのだった。

そしてその行為が激しければ激しいほど帰宅した後の後悔は大きくなる。いつもそれの繰り返しだった。

そんなアケミがその決心をしたのは、長い正月休みのことだった。

この時期のアケミは例年ならば田舎の両親の元で過ごすはずだが、ここ最近は結婚を望む両親の顔を見るのが辛くて、この年は帰省を見合わせていたのだ。

ある程度予想はしていたが、世間では浮かれ気分の正月を、一人で過ごすのはとても辛いことだった。

しかしそれは、アケミにとっては一人で冷静に考えられる良い機会だったとも言えた。

やがて休みは終わり、アケミは固い決心を胸に秘めて新年の初出勤に臨んだ。


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