夜会に出席 *性描写あり-8
どうやら性の知識は、あまり教わっていなかったらしいと、カテリナはすぐ思い知ることになった。
男女の営みに、身体のどこを使うかくらいは知っていたし、初めての時は苦痛を伴うらしい事も知っていたが、それだけだ。
苦痛に耐え、大人しく横たわっていれば、すぐ終わるものだと思っていた。
「ふ……あ、あっ……」
胸先の突起を舌で嬲られ、時に吸い上げられながら、全身を火で炙られるような感覚に、カテリナは身悶える。
もう片方の胸も、全体をすくい上げるように揉みしだかれたあと、突起を指先で刺激され続ける。
慎ましやかな桜色だった突起は、苺のように真っ赤に色づいて固く尖りきり、淡く色づいている周囲までも、プクリと膨らんでいた。
「ずいぶん感じやすいな。もう少し慣れれば、胸だけでイけそうだ」
からかいまじりのセリフを否定したくて必死で首をふるが、唾液に濡れ光る先端へ吐息を吹きかけられると、ビクンと身体が震えてしまう。
無理やり抱かれているはずなのに、身体は嫌悪感ではなく、はっきり快感を貪っていた。
「ん、、んんっ、は……あ、ん、ああっ!!あああっ!!」
止められない淫猥な自分の声に、耳を塞ぎたくなる。
戒められている手首を必死によじっても、頑丈なベッドの支柱は、かすかにきしむだけだった。
強制的に教え込まれる快楽に、理性も恐怖も剥ぎ取られ、獣にされてしまう気さえしてくる。
「あっ、あぁん!いやぁぁっ!!おかしくなっ……あああ!」
不自由な中、少しでも甘苦しい拷問から逃れようとするように、背中が大きく弓なりに反る。
足にまとわりくドレスは、もう衣服としての役割を果たしてはいない。
ルーファスが鬱陶しげに布を剥ぎ取り、長いしなやかな指を脚の奥へ差し入れる。
「ひぁっ!!」
秘められていたスリットをなぞられ、さすがに恐怖が鎌首をもたげる。
「や、いや、いや……っつぅ!」
こじ入れるように差し込まれた指に、違和感と苦痛を与えられ、顔をしかめて呻いた。
「やっぱり初めてのようだな。こんなにキツイ」
指が引き抜かれ、ほっとしたのも束の間だった。
「なっ!?あ!!」
指どころか、脚の間に顔を埋められ、舌でその場所を舐め上げられた。
「やめ……っそんなところ……いや、いやぁ!!」
「とても綺麗だし、できるだけ痛い思いはさせたくない」
ルーファスは平然と答え、さらに二本の指で花弁をこじ開け、柔らかい舌がその中へ侵入する。
「あ、あ、あ、あ、あ」
「今度はちゃんと潤滑油も用意しておくが、ゆっくり解すから、怖がらなくていい」
全身に散らばっていた甘い痺れが、しだいに腰の辺りへ集中し溜まっていく。
そこを濡らしているのは、すでにルーファスの唾液だけでないのが解る。
身体の奥から蕩け出してきた蜜と合わさり、舌がそれを攪拌して淫猥な水音を響かせる。
「く……くぅ……ん」
肥大していく快楽に耐えようと、唇をかみしめるが、ぐずぐずに蕩けていく理性では、それすらおぼつかない。
ふいに舌先が移動し、小さな肉芽をなめあげた。
激しすぎる快感が全身を突きぬけ、頭が真っ白になって、悲鳴があがる。
「あ、だめっ!それっ、やぁぁああああああ!!!」
ガクガクと腰が痙攣し、つま先でシーツを踏みしめた。
「は……はぁ……ぁ、ぁ……っ」
十分すぎるほど潤ったそこへ、指が再び埋め込まれる。
下腹部に、もう一つ心臓ができてしまったようだった。
内壁がとくとく動悸を繰り返し、差し込まれた指を抱きしめて絡みつく。
指は内部で巧みに蠢き、脱力しきっていた身体が、再び快楽を求めだす。
本数を増やされても、痛みどころか更に快楽が増していくばかりだ。
「あ、はぁっ……あ、あ、ん、ん……」
「からかわれて困っている時が、カテリナは一番可愛いと思っていたが……」
気付けば、間近で顔を覗き込まれていた。
「こんな風に乱れている顔は、もっといいな」
「あ……」
上気した頬に、軽い口づけが落とされる。
一瞬、ルーファスの笑顔は、いつもの優しいそれだった。
魂までも戒められてしまった気がする。
いつだってこの青年領主は、この微笑でカテリナを翻弄させ、魅了する。
地位や家名なんかじゃなく、ルーファス自身に、とっくに捕らわれてしまっていた。