夜会に出席 *性描写あり-7
「っ!?」
急に、横抱きに抱え上げられ、毎朝ルーファスを起こしている寝台へ放り込まれた。
「試してみようか」
のしかかってカテリナの動きを封じ込め、ルーファスが見たこともないような嗜虐的な笑みを浮べる。
「身体だけでも手に入れれば、諦める事ができるかもな」
片手で、ルーファスはなんなくカテリナの両手首を一まとめにして掴み、頭上のシーツへ縫い付けてしまう。
「だ、だめですっ!」
「……天使の断罪がくだるから?」
ルーファスから降ってきた予想外の言葉に、驚愕する。
「どうして……」
あの時の事情は、一応聞かれて一通り答えたが、幻のヴァイオリンの音色とセリフは、誰にも言ってなかったはずだ。
「男達を個別尋問した時、一人が供述した。『悪しき者に、天使の断罪を』と、君は言ったそうだ」
「私が……?」
「そして君は、そのセリフを口にした後、素手であの男達をブチのめしたらしい」
「そん……な……憶えてません……」
「そうだな。デタラメなホラ話もいいところだ。俺の手も振り解けない細腕で、7人の屈強な男を半殺しにしたなんて」
手首を戒めるルーファスの手に、力がこもる。
「天使が川から流れてくるくらい、ありえない話だよ」
「っ!」
衣擦れの音がした。
ルーファスが首に巻いたタイを解き、カテリナの両手首をそれで戒める。
その端は支柱の一本にくくりつけられた。
「は、離してください!」
「悪いが聞けない。今度は冗談で誤魔化してやる気などないからな」
シーツこそ、カテリナの使っているものと同じ品だが、この部屋の寝台は更に広かった。
斜めに横たわる姿にされても、まるで狭さを感じない。
手際よくドレスが剥ぎ取られていく。
あっという間に白い上半身がむき出しになり、サファイアブルーの煌く布は、下半身を波のように覆っているだけになった。
コルセットも外され、零れ落ちた胸が、ふるりと震える。
「ルーファスさまっ!止めて!!」
全身に冷や汗を浮かべ、カテリナは懇願した。
無理やり抱かれようとしているのは、あの時と同じなのに、不思議とルーファスの手から嫌悪感は感じない。
それより、小屋の惨状が脳裏に蘇って背筋が震える。
何かわからない、『ワルイモノ』が自分の中にあるなら、今度はそれでルーファスを傷つけてしまうかもしれない。
「カテリナ……カテリナ……君が何者だっていい。本当に天使で、このまま殺されたってかまわない……」
首筋に顔を埋めたルーファスが、うわ言のように呟く。
「……愛してる」