夜会に出席 *性描写あり-2
城に戻ったとたん、予想もしていなかった事件を聞き、ルーファスはすぐ必要な手配をとったあと、フィオレッラを問い詰めた。
「知らないわよ!私がそんな事を命令するわけないでしょ!」
ルーファスの向かいで、フィオレッラが怒鳴り散らす。
先ほどまでさめざめと泣いてみせていたが、効果がないと知ると、今度は怒りだしたのだ。
執務室には、ルーファスとフィオレッラ、リドの三人だけだ。
ルーファスはデスクの椅子に座り、リドはその後で彫像のように静かに控えている。
フィオレッラは向かいに置かれた椅子に腰掛けていた。
「だが、騎士たちは全員、お前に命令されたと言っている」
「酷い!ルーファスは私を信じてくれないの!?」
興奮のあまりたちあがったフィオレッラは、小さな全身をいからせて怒鳴る。
「あの淫乱女が、私の護衛騎士達を小屋に誘い込んで誘惑したんじゃないの!?それでケンカにでもなったんでしょ!」
「……フィオレッラ・イルマ・メレディアーニ。口を閉じろ」
凍りつきそうな低温の声に、さすがにフィオレッラもビクリと震えて黙る。
「カテリナは無事だったが、騎士たちは他にも同様の手口で、何人かを暴行したと白状した」
「だとしても……私には関係ないわ……」
「それは被害者に聞けばわかることだ。醜聞を恐れて話してくれないかもしれないが、一人くらいは、勇気のある女性がいるかもしれないな」
静かな声だったが、フィオレッラはさらにあとずさる。
「っ!ルーファスが私をいじめたって、お父さまに言いつけてやるから!」
「その手間は必要ない。メレディアーニ家には、すでに使者を送った。お前がやるべき事は、いますぐ家に帰り、罪人として告発されるか修道院に入るか選ぶ事だ」
それまでずっと、ルーファスは静かで冷静な表情を崩さなかったが、初めて怒りを露にした。
「もう一度でも俺の前に顔を見せたら、ランベルティーニの名にかけて、メレディアーニ家を全力で叩き潰す」
結局、カテリナを救ったのは誰か不明なまま、事件は処理された。
クレオが仕入れてくれた情報では、フィオレッラの両親は、娘を遠い地の修道院に叩き込んでしまったらしい。
甘やかし放題で溺愛していたようだが、家名の醜聞と天秤にかければ、家名のほうが重かったのだろう。