悪しき者に、断罪を-5
――鉄さびの匂いと呻き声が、辺りに充満していた。
遠くから、犬の吠え立てる声が聞え、カテリナは重い瞼をあける。
「おいコラ、こんな所になんだ?」
庭師のおじいさんの声が聞え、扉が開いた。
一気に入り込んできた日光に目がくらむ。
「うわっ!?」
老人は悲鳴をあげて思わず後ずさったが、カテリナを見て、更に驚きのうめき声をあげた。
「カ、カテリナさま!?」
「あ……あ……わたし……」
ガクガク震えながら、やっと身を起した。
何があったのか、憶えていない。
小屋の中には、フィオレッラの護衛騎士たちが倒れていた。
どうやら息はあるようだが、全員泡を吹いて気絶している。
鼻血で顔が真っ赤に染まっている者もいるし、骨折しているのか、手足が奇妙に曲がっている者もいた。
「どう……して……?」
白かったカテリナのシュミーズドレスは、返り血と思しきものにまみれ、赤い花模様のようになっていた。