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別れの結末
【その他 官能小説】

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別れの結末-2

 この歳になるとみんな結婚を意識し始めるけど、私は危機感ゼロ。男がいなくたって仕事がある。老後には困らない。
 そう言ったら、同僚に「今から人生を悲観してどうする!!」と突っ込まれた。
 
 彼氏が出来たらそれは嬉しいし、バレンタインやクリスマスのイベントが来るたびに彼氏が欲しいとも思う。だけど、物事はいつも穏やかなわけではない。喧嘩もするし、終わりが来る時もある。
 その先の未来が必ずしも明るいとは限らない。

 それに今は仕事が楽しかった。仕事をこなせばそれが報酬になって返ってくる。

 彼と出会ったのはそんな時だった。
 ある時、会社のパソコンに同僚からメールが届いた。飲みに行こうと誘われて、私は二つ返事でOKを出した。


 仕事が終わって居酒屋に行くと、席にはもう人が座っていた。
 スーツを着た少し体格のいい男性が2人。

 会社の人が笑顔で2人に挨拶している。
 私だけ頭にはてなマークがたくさん飛んでいた。そしてもしかしてと気がついた。

 もしかしなくても合コン。
 相手は有名会社の営業マン。

 何の話をしたらいいのかもわからなくて、私はお酒を飲んで、頼んだ料理を食べて、皆の話を聞いていた。
 
 笑いたくもない話しに笑って、聞きたくもない話を聞く。
 そんな時向かいに座っていた彼が私に話しかけてきた。

 たわいもない会話で盛り上がったけど、それだけ。特に楽しいわけじゃなかった。知らない人と飲んでもつまらない。
 
 帰り際になって、携帯番号を聞かれた。教えたくなかったけど、同僚の手前断れずに私は番号を教えてしまった。こんなご時世だ。知らない人に番号をむやみに教えて後で恐い事に巻き込まれないか心配だった。

 番号交換なんて初めてだった。
 帰り際の電車の中。外見で判断するのはいけないけど、彼は誠実そうな人だったし電話番号を悪用したりしない。
 そう思っても心の中は後悔でいっぱいだった。
 
 
 その夜。家に帰ってシャワーから出ると携帯電話にメール着信のお知らせ。
 メールの差出人は今日会った彼。

 メールを開くと
 『今日は楽しかったです。もしよかったら今度食事にでも行きましょう』
 絵文字も何もない文章で、でも、返事を出さないといけない気がして……。

 すぐさまメールを返信。当たり障りのない絵文字で、可愛げも何もない文章。どうせメールなんてすぐに来なくなるに決まっている。そう思った。だけどその日から私たちは少しずつメールをするようになった。内容は「今日は暑いね」とか、「仕事が片付かない」とか「コンビニで買ったお菓子がおいしかった」っていうたわいもない会話。

 最初は乗り気じゃなかった。だけど来るメールを無視するわけにもいかない。そうやって私たちは途切れそうで途切れないメールのやり取りを繰り返した。日に日に回数も増えて、今では2人ともすっかりため口。

 メールをすることが楽しくなった。彼からのメールが待ち遠しくなって、気が付いたら私は彼の事が好きになっていた。
 
 返信完了の文字を見るたびに少しだけ不安になる。

 もう少し可愛げのある文章の方が良かったかな?
 絵文字あんまり使わなかったけど、ハートとか使った方が良かったかな? 
 でもハートなんて入れたら彼はどう思うかな?
 
 いろんな思い。だけど結局最後は「また返事来るかな?」って少しだけドキドキしながら彼の返事を待つ私。
 
 仕事中もどこかそわそわして、ポケットの中で携帯が震えるとさりげなく席を立ってトイレにこもった。

 メールを見るとやはり彼から。

 『今度の休みにご飯に行こうよ。おいしいパスタ屋さん見つけたんだ』

 デートのお誘い。


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