帰還-1
悠久領域へ入り、見慣れた風景にアオイは目を細めた。
(離れていたのはほんの少しなのに・・・とても懐かしい気がする)
ティーダ様・・・あとでちゃんとお礼を言わなくては・・・トワ様大丈夫かな・・・
「アオイ、翼はしまえるかい?」
「あ、それがうまくいかなくて・・・」
なんとかしようとしても翼がパタパタと動くくらいでキュリオのように自在に消したり出現させたりとはいかないようだ。
(城の者に見られては騒ぎになるな・・・少しの間、魔法で皆が認識できぬようにしよう)
キュリオは左手に集めた光をシャワーのように降り注いだ。
「焦らなくていいんだよ、皆には見えぬようにしたから」
そんな様子をカイと呼ばれる剣士が遠目に見ていた。
(・・・いま・・・確かに姫様の背に・・・・・・)
笑うアオイとともにキュリオが城の前へ降り立つ。
王と姫の帰還をたくさんの家臣や女官・・・そしてカイが歓声をあげ、中には涙を流している者もいた。
「おかえりなさいませアオイ姫様!!」
「キュリオ様おかえりなさいませ!!」
「皆・・・ただいまっ!!」
幸せそうなアオイは女官たちに抱きしめられている。カイが飛び入りしてきてアオイをきつく抱きしめていた。
「よかった・・・よかった姫さま・・・っっ」
くすぐったそうにアオイはカイを抱きしめ返した。
「ごめんね心配かけて・・・」
(自分のワガママで帰りたくないだなんて・・・こんなに待ってくれている人がいるのに私・・・)心から反省したアオイだった。
(・・・きっと見間違いだ・・・姫様の背に翼はみえない・・・)
喜びの中に言い知れぬ不安が広がるカイだった・・・。