葛藤-1
キュリオに抱きかかえられアオイは悠久をめざし空間を移動していた。
背にある翼にアオイは違和感を感じているようだ。気になるのか羽をひっぱっている。
そんな様子をみてキュリオは・・・淡く輝いている翼が憎くてしょうがなかった。
(・・・なぜアオイが・・・どうして・・・・・・)
「キュリオ、エクシスは・・・エクシスは一緒に来ないの?」
「あ、あぁ・・・彼なりに考えがあるんだろう、落ち着いたらきっとまた顔を出すよ・・・」
頷くアオイは悠久から離れたときの話をしはじめた。と、そのとき急に黙って・・・
「アオイ?」
キュリオが顔を覗くと真っ赤になったアオイが慌てている。
「あ、えっと・・・い、いえ・・・」
「お、王さまの口付けは、重要な意味があると聞いて・・・」
そこまで言ったアオイの唇がキュリオの唇で塞がれた。
「・・・んんっ・・・」
長い口付けからやっと解放されたアオイは大きく息をついた。息がかかりそうな距離でキュリオが呟く。
「・・・そう、私の愛は・・・永遠に君のものだ」
キュリオはアオイをきつく抱きしめた。
いつか永遠の別れがくる・・・そんなことは考えたくない、ならば・・・どちらかの世界がなくなれば・・・この先も一緒にいられるのだろうか・・・
王としてよからぬことを考えてしまう自分が情けない。だが・・・キュリオにはアオイがいない世界など考えられないのだ・・・。
はっとしてアオイはキュリオの頬をなでた。
「泣かないで・・・もう会えなくなるわけでは・・・」
アオイはきっとマダラの言った意味が理解できていなかったのだろう。切り離された世界・・・つまりアオイが人界へ戻ったら二度と会えないということを。
「ああ、私がお前を手放すわけがないだろう?ずっと一緒だ・・・」
「はいっ」
アオイは無邪気に笑っている。
また楽しい日常に戻れると信じているに違いない。