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翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

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輪廻-1

「何する気だ・・・気でも狂ったか!!」







アオイへと狙いを定めたエクシスの前にティーダが立ちはだかる。







『・・・貴様はもともと殺すつもりだったからな。このまま死ね』






と、エクシスの矢が放たれる前にマダラの鎌がそれを遮った。





「無駄だ。人界の王の魂は輪廻。今死をむかえ・・・新たに生を受けても・・・彼女は人界の王だ」






「こちらにその魂と肉体が紛れ込んだのさえ奇跡・・・次に生を受けるのは間違いなく向こうの世界でだ。二度と会うことは叶わないぞ」






『・・・・・・』





エクシスの瞳には絶望の色が浮かんでいる。人と精霊の障害もかなりのものだが・・・互いが世界の違う王ともなれば・・・手立てはない。






ティーダは黙ったままアオイとキュリオの後ろ姿を見つめていた。アオイが誰のものとなるかなど・・・もうその話どころではなくなってしまった。






遠くで振り返ったアオイはティーダに向けて深くおじぎをした。『ありがとう』そう言っている口のカタチまでは確認できた。






「・・・マダラ・・・人界はいま王がいないんだろ?どうなってんだ」







「それはエデンが詳しい。やつは雷帝として人界でも知られているらしいからな・・・」







「・・・そうか」







ティーダは今までヴァンパイアの王であることに不満を感じたことはない。アオイが忌み嫌らわず対等に接してくれたからだ。だが・・・人界で存在を認められているエデンが、ただただ羨ましく思えた・・。





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