覚醒-1
「早いな・・・」
何かを感じ取ったマダラは空を見上げた。
大きな鎌を突き、現れた魔方陣に足を踏み入れ・・・マダラは[黒の刻印]を目指して身を投じた。
あたりを包んだ光が収まってくるとティーダは目を疑った。
キュリオからトワをかばって抱きしめるアオイの背には・・・
「・・・翼・・・だと・・・・・・」
そのアオイの傍に魔方陣が出現し、大きな鎌が・・・マダラが姿を現した。
はっとしたエクシスとキュリオがアオイに駆け寄ろうとする。
「・・・動くな」
マダラは己の大鎌をアオイの喉元へ突き立てた。我にかえったアオイはマダラの姿を確認し、きょとんとしている。
『・・・マダラ何しにきた』
「まだわからぬのか・・・翼は王の証・・・」
「・・・え?」
そう言われたアオイは背の翼に目を向けて驚いている。
「この少女は・・・アオイは」
「第六の王だ」
アオイは驚きのあまり沈黙していた。
「・・・な、なぁマダラ、第六ってこの世界には五大国の王しか存在しないはずだろ・・・?」
冗談を言わないマダラだからこそティーダは動揺していた。
「・・・ああ、この世界には、な」
何かに気が付いたキュリオは片手で顔を覆った。
「・・・人界か・・・っ!!」
キュリオが傷付いたように拳を握りしめている。そのままアオイへ近づき・・・
「アオイ、一緒に帰ろう・・・悠久に」
「お父様・・・、エクシスともティーダ様とも・・・マダラ様とも仲良くするって約束してください・・・でなければ私は帰りません・・・」
「ああ、お前の悲しむことはしたくない・・・約束しよう・・・」
「翼を出現させたということは・・・そんなに時間はないぞ・・・キュリオ殿」
キュリオは黙ったままだ。
「人界ってどこにあるんですか?マダラ様」
アオイは飄々としている。
事の重大さに気が付いていないのか、己の正気を手放したのか・・・
「・・・こことは切り離された世界だよ」
「いこう、アオイ」
キュリオに背を押されアオイが歩き始めた。
エクシスは一言も発しない。
が、次の瞬間・・・
『・・・すまないアオイ・・・』
光輝く弓が再度召喚された。
矢をつがえ・・・狙った先にはアオイがいた・・・