写真集タイム-1
龍が中二、真雪は高三の夏。海棠家のリビング。
テーブルの上に数枚の写真が広げられている。どれもモデルは真雪だった。
「これは、夏に草原で撮ったやつ。」龍が言った。
「真雪って麦わら帽子が妙に似合うね。」ミカがその写真を手に取って言った。
「この大人っぽいのはいつ撮ったんだ?龍。」ケンジが一枚の写真を指さした。真雪が全裸で、淡い琥珀色の灯りの前に立って、シルエット姿になっている。
「それはこないだ真雪んちのリビングで撮った。」
「アシスタントのケン兄は横で鼻血出してたよね。」真雪が笑った。
「若い身体って、きれいだよな。」ケンジがため息をついて言った。
「あたしも撮ってもらおうかな、龍に。」ミカが呟いた。
「え?お前も?」ケンジが訊いた。
「そ、ヌードを。」
「いいよ、いつでも。」龍がさらっと言った。
「ヌ、ヌードを撮るのか?」
「そうよ。」
「父さんも撮ってあげようか?」
「えっ?!」
「何なら母さんとのカラミの写真でも。」
「ばっ!ばか言うなっ!そ、そんなか、かっ、カラミだなんて!」
「今ならまだ人に見せられる写真ができるよ。年取ったら皺とかシミとか、いろいろ見せたくないモノも現れてくるでしょ?」
「龍の言うとおりだ。」ミカが言い放った。「よし、近いうちに設定しよう。そうかー、夏の旅行で撮ってもらうべきだったな、もっと早く気づけば良かった・・・。」
「あたしケンジおじの若い頃の写真、見せてもらったことあるよ。」真雪が唐突に言った。
「えっ?」
「パパが撮った写真。高校生の時の。」
「へえ、あれを?」ミカが言った。
「え?どんな写真?見たい。見せてよ。うちにもあるんでしょ?」龍が言った。
「ううむ・・・・・。」ケンジは腕を組んで唸った。「み、未成年に見せていいものか・・・・。」
「大丈夫だろ、真雪は自分のヌードを見ても平気なヤツだし、龍ももうある意味大人だから。」