写真集タイム-2
ミカが寝室から一冊のフォトブックを持って来た。
龍がそれを受け取ると、すぐに表紙をめくった。「あっ!ケン兄と真雪・・・・?」
「それが違うんだな。それは高校生の時の父さんとマユミ叔母さんだ。」ミカが笑いながら言った。「予想通りの反応だったね。」
「ほ、ほんとにそっくりだね。顔も、身体つきも。肩に手なんか置いちゃって。ほんとに恋人同士みたい。」
ミカが真雪を見た。「真雪はもう知ってるんだろ?」真雪は微笑みながらこくんとうなづいた。「龍もね。」
次のページを開けた龍は、目を輝かせてそこに貼られた数枚の写真を見つめた。「これは腕組んでる、こっちのは父さんが後ろからマユミ叔母さんを抱いて・・・・。仲良すぎ!」次のページをめくろうとする龍の手をケンジが止めた。「ちょ、ちょっと待った!」
「え?」龍が目を上げた。
「な、何を見ても、驚かないって誓え!龍。」ケンジは思いっきり赤面して言った。
「何?なに?そ、そんな凄い写真がこの後・・・・。」
「や、やっぱりまだ早くないか、ミカ。」
「もうカミングアウトしてもいい頃じゃない?龍ももう知ってるって言うし。」
「そ、そうか・・・・。」
「見ていいよ、龍。父さんの青春時代の熱い証拠写真だ。」
龍はおそるおそるページをめくった。彼の目に飛び込んできたのは、海岸で、水着姿のケンジとマユミがキスをしている姿だった。そして次の写真はシンプソン家の離れの部屋で暖炉をバックにやはり熱いキスをしているケンジとマユミの姿が写されていた。
「すごい!きれいだね!まるで映画のシーンみたい!」龍が感動したように言った。「ケニーおじさんが撮ったの?これ。」
「そうだよ。」真雪が言った。
「本当に理解のある親友だったんだね、ケニーおじさん。」そして目を上げてケンジを見た。「幸せだよね、こんな写真が残ってるなんてさ。」
「ま、まあな・・・。」ケンジは頭を掻きながら言った。
「この後、正真正銘のR18指定写真のページ。」
「えっ?!本当?見てもいい?」
「もういいよ。ここまできたら、後には引けないだろ。」ケンジがため息をついて言った。
「たぶん、真雪も初めて見る写真だぞ、心して見な。」ミカが言った。
龍はページをめくった。そのページにある数枚の写真は、薄暗い部屋でケンジとマユミが全裸のまま身体を重ね合い、むさぼるようにキスをしている連続写真だった。中の数枚は光不足のため被写体ブレで写っているが、それがかえって臨場感を増す要素になっていた。
龍と真雪は無言のままごくりと唾を飲み込んだ。
次のページは、ケンジが下になり、騎乗位で二人がセックスをしている写真。ケンジが苦しそうな表情で快感に耐え、マユミは顎を突き出して喘いでいる。
「・・・す、すごい・・・・。」龍が言った。
「素敵・・・・・。」真雪も言った。
「そ、それはセルフ撮りの写真だ。さすがに人には頼めない・・・・。」ケンジが小さな声で言った。
「いいよ、父さん、これいい!」龍が叫んだ。真雪も言った「写真だけで二人が本気で愛し合っていることがわかるね。ヤラセでは絶対に出せない雰囲気。」
「それに、今、クライマックスを迎えている、っていうことが、伝わってくる。熱いよ、この写真。」
「そ、そうかな・・・・。」
龍がまたページをめくった。「おっと!」ミカが小さく叫んだ。
「あっ!母さんだ!」龍も叫んだ。
ミカがプールサイドで水着姿で写っている写真、ケンジと二人でピースサインをしている写真、プールのスタート台のミカの写真。
「ミカさん、ナイスバディだね。昔から。」真雪もその写真を見ながら言った。
「ありがとよ。そして次のページからはR18指定第二章。」
「おおっ!」龍がページをめくったとたん、叫んだ。「いい!これもいいよ。」
ケンジの上に重なったミカ。腰から下はケットで隠されているが、明らかに繋がり合っていることがわかる。二人は恍惚の表情で見つめ合っている。
「ほんとに素敵。二人の身体もきれい。惚れ惚れする。」真雪がため息をついた。
「それもセルフ撮りだ。」ケンジがコーヒーを飲む手を休めて言った。
フォトブックの最後の方にはたくさんのラブシーンの写真があった。
「燃えてきたっ!」龍が言った。「こんど、本気で撮る。父さんと母さんのカラミ。」
「えっ?!お前が撮るのか?」ケンジが驚いて言った。
「それから、できれば父さんとマユミ叔母さんのカラミも。こんなにきれいで素敵なカップルのカラミ、今撮っとかなきゃ。もったいないよ。」
「あたし、アシスタントやるから、パパとママのラブシーンも撮ってやってよ。」真雪が言った。
「もちろんOKだよ。」
「な、なんてヤツら・・・・。」ケンジが呆れて言った。
「もう誰も二人を止められないね。」ミカも言った。
「じゃ、じゃあ、俺もお前たちが愛し合ってる姿、撮ってやる。」ケンジが言った。
「大丈夫?ケンジ鼻血噴かない?」ミカがおかしそうに言った。
「ティッシュ、横に置いとく。」
「さすがだね。」ミカは飲み干したカフェオレのカップをテーブルに戻した。
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