伝わらない気持ち-1
大きく美しい翼を広げたふたりは、それぞれ手に剣や弓をもっている。
「・・・やはりここにいたんだねアオイ、助けにきたよ」
『・・・マダラはいずれ殺す・・・まずは貴様からだ』
アオイは背筋が凍る気配がした。
ふたりの目は正気ではない。憎しみや怒りが混ざった冷たいものとなっていたからだ。
「やめてっ!!
お父様っ!!エクシス!!
わたしは・・・わたしは自分の意志でここにいるの!!」
その言葉を聞いたキュリオの手がわずかに動いた。
「いけない子だねアオイ・・・
・・・あぁ、この男に洗脳されているんだね。そんな似合わないドレスまで着せられて可哀想に・・・」
『・・・もはや貴様だけでは飽き足らぬ。我がこの手で国ごと消滅させてやろう・・・』
いうが早いかエクシスの弓と矢が激しく輝いた。
目の前に降りてきたキュリオがアオイの腕をつかもうとした。が、ティーダがその手を払った。
「渡すわけねぇだろ」
そう睨みつけるティーダの背後にいたヴァンパイアたちが王と妃を守ろうとキュリオに立ち向かった。
「・・・アオイの前で血を流すのは極力控えたかったが・・・」
キュリオが神剣を一振りすると数人のヴァンパイアが吹き飛んだ。その衝撃はすさまじく、吹き飛んだヴァンパイアは体中の骨がバラバラになってしまいうめき声すらあげられずにいる。
ショックのあまり口元を抑えるアオイの顔からは血の気がひいていく・・・