吸血鬼の宴2-1
・・・すると首をかしげたティーダがアオイを手招きする。玉座の傍らに立つよう招かれて足をすすめると・・・
ヴァンパイアたちから歓声があがった。
玉座に上がれるのは、王であるティーダと妃となる女性のみが許された場所だからだ。
「・・・静まれ。
今宵はよく集まってくれた。俺の妃候補を紹介しよう。悠久国のアオイ姫だ」
「おめでとうございます!!ティーダ様!!アオイ姫様!!」
一層歓声が高まり、アオイは息をのんだ。
「ティーダ様、私・・・っ!!」
「・・・今はまだ妃ではなくても、俺はお前を必ず手に入れてみせる」
立ちあがったティーダは戸惑うアオイの唇を奪った。
それをみて更に沸いたヴァンパイアたちはかつてない程の喜びに包まれた。
宴はすすみ、用意された食事はとても豪華で悠久で口にするものと変わりなくみえた。(吸血鬼の食事って血だとばかり・・・)ティーダを見るとワインを片手に普通に食事をしている。
目と目があって、
「ヴァンパイアは血しか口にしないと思っていたみたいだな」
アオイが知識のなさに恥ずかしくなっていると、
「もしそうだったら・・・まだ人であるお前をこんなとろこに連れて来たりはしない。危険だからな」
「まだ・・・人?」
「・・・俺の妃となる覚悟が出来たら・・・その時に話そう」
頷くことも出来ず、アオイは黙ってしまう。言葉が見つからずに手元をみつめていると・・・
「悠久の姫様ですかな?
ようこそ我が国へいらっしゃってくださいました」
物腰の柔らかい年配の男性がにこやかにアオイへ近づいた。
「はい、お初にお目にかかります。アオイと申します。急にお邪魔してしまって申し訳ありません・・・」
「いやいや、とんでもございませんティーダ様は姫様に恋焦がれ・・・ずっとあなた様を・・・」
「・・・大臣、それくらいにしておけ」
ティーダを見ると顔を赤らめてそっぽを向いている。思いがけない素顔をみたようでアオイは小さく笑った。
「・・・何がおかしい」
「い、いえ・・・そんなに想っていただけていたなんて・・・私気が付かなくて」
「俺を甘くみるなよ?
・・・っていってもキュリオの警戒がなかなかに強くてな」
少年のようにつぶやくティーダはとても可愛らしく、アオイの緊張は次第に解けて行った・・・