ティーダ-1
ふいにティーダに近づかれ、反応できずにいると・・・
優しく顎をつかまれる。
唇が触れそうになりアオイは身をすくませた。するとティーダは一瞬の間をおいて・・・頬に口づけた。
「・・・俺はずっとお前を見てきた」
「キュリオにもらったハープをお前が大切にしていることも・・・知っている」
アオイは手元のハープを見つめた。
(・・・やっぱりただの偶然じゃないんだ・・・ティーダ様は私のために・・・)
「・・・悠久に帰りたいか?」
アオイの髪を手に取りティーダは愛おしそうに唇をよせた。
「・・・帰りたい・・・はずなのに・・・わから・・・ないんです・・・」
アオイは手にしていたハープをきつく握りしめた。どうにもならない気持ちが・・・出口の見えない闇がアオイを支配している。肩が小刻みに震え、目頭が熱くなった。
「・・・早く俺のものになれ・・・これ以上苦しむな」
ティーダの切ない眼差しがせまり、慰めるような口付けが与えられた・・・。
アオイの弱った心に優しく響くティーダの言葉・・・。
ふたりの出会いが・・・ふたりを妨げるものが何もなかったら・・・幸せな恋人同士になれただろう。
見え隠れするティーダの優しさに触れたアオイは次第に心を開いていった・・・。