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翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

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第2王子-1

窓の外には上からぶらさがったように逆さまになっている小さな姿があった。



小さな姿は窓をあけて軽い身のこなしで室内へ着地した。



動けずにいるアオイはハープを落とさないように必死に耐えた。



「あーっ!俺の花!
ちゃんと飾ってくれてるんだなっっ」


さきほど小瓶に飾った花を指さし、
嬉しそうに目を輝かせてはしゃぐこの子は人で言えば5〜6歳くらいだろうか?
まんまるな黒い瞳、短めの黒髪・・・八重歯がとても可愛らしい。


「あ・・・、お花をくださった・・・トワ様ですか?」


「俺のなまえ知ってるのかっ!?」


あまりの子供らしい素直な態度にアオイは微笑んだ。


「可愛いお花を・・・ありがとうございます、わたくしアオイと申します」



アオイが丁寧にお礼を言いおじぎをすると、その少年は顔を赤くして照れている。



「俺、トワ!!
にいちゃんの弟で第2王子なんだ!!」



「・・・にいちゃん?」



その時、扉が開いて入ってきたのはティーダだった。アオイが激しくハープをはじいた音を聞いて何事かと走ってきたのだろう。呼吸が乱れている。


「一体どうし・・・っ」



「・・・・・・」



「こらっ!!トワ!!何やってる!!」



トワと呼ばれた少年はいたずらっ子のように部屋を走り回りながら扉を抜ける、とその時


「ひめ!!またなっ!!」


と振り向き手を振る。
思わず笑みをこぼしてアオイは手を振り返した。


「トワは俺の弟だ、驚かせてすまなかった」


頭をかきながら、やれやれといった様子のティーダを見ると普通の兄弟を見ているようでアオイの心にはあたたかいものが広がった。



「・・・ハープ気に入ってくれたか?」



ティーダ様はアオイの手元を見ていた。



「とても素敵な贈り物を・・・ハープをありがとうございます、悠久にあるものとそっくりで・・・とても驚きました」



感謝の意を込めてアオイが微笑むと、ティーダはじっとこちらを見ていた。



綺麗な瞳に見つめられて・・・
目がそらせなくなったアオイは初めてティーダの顔をしっかり見た気がした。



血の色を宿したような赤い瞳・・・そして艶やかな長い黒髪。肌は雪のように白く・・・紅の唇は妙に色っぽい。・・・キュリオやエクシス程ではないが背も高く、まとうオーラは孤高の王たる威厳に満ち溢れている・・・








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