『Sleepin Beauty』-1
…どこだろう、ここは。
なにか欧風な雰囲気の見慣れない街。
だけど見上げた空だけは、私がさっきまで仕方なく生きていたはずのあの街と何も変わらない。
私は夢でも見ているのだろうか。
それとも、やっと誰かに眠らせてもらえたのか。
分からない。
ここにはあなたがいないから。
それだけじゃない。
私以外に生きているものすらいない。
本当にふざけた街だ。
静かすぎて、何もなくて、ぴりぴりと空気でさえも痛い。
私は、どこへ行けばいい?何も無くて、このままじゃ生き続けることも死ぬことも出来ない。
あなたは追いかけてくるけど、私との距離が開きすぎるとあなたは諦めてしまう。
追いかけ続けて欲しい私は必死に、でも5メートルの距離を保とうとしてたはずなのに。
私は、どうすればいい?
夢なら醒めて欲しい。
眠り姫だってやがて目覚めた。
私は眠り姫なんかじゃないけど、誰かが私の目覚めるのを待っていてくれてるかもしれないし。
その時。
聞き慣れた、でも懐かしい声がした。
何も無かった街に道が出来た。
私は走りだした。
今度は逃げてるわけじゃない。
もう、悪夢は醒めた。
雲がちぎれて、光が射した。