ティーダの城へ・・・-1
まるで・・・時空を飛び越えているような感覚がアオイの体を包む。
違和感に身をすくませるとティーダの腕に力がこもった。
「・・・怖いか?」
ティーダの顔が近すぎてアオイは思わず顔を背けた。
「悠久の外に出たことないだろ?」
「は、はい・・・」
「・・・だろうな。だが、今ならキュリオの気持ちもわかる・・・絶対手放したくない存在ってのがお前なんだよ」
見上げるとティーダと目が合った。
とても美しく鮮やかな赤い色をしている。
時折、ティーダの黒い翼が視界に入り・・・
(わたし・・・この瞳と翼をどこかで・・・)
「・・・俺に惚れたか?」
口元に笑みを浮かべたティーダに顔を近づけられ・・・赤くなった顔を見られぬよう、慌てて顔を背けた。
「もうすぐ俺の国だ」
ティーダは大きく翼を広げ急降下していく。
空気が変わり、遠くを見ると大きな月がみえた。月の見え方で国の位置関係が大きく違うことがわかる。
城門の前におりると重そうな扉がゆっくり開いた。ティーダに背を押され・・・城内へと促される。
「お帰りなさいませティーダ様、アオイ姫様」
たくさんの家臣たちに、うやうやしく頭を下げられアオイは恐縮してしまう。
頭を下げられるたびにアオイもおじぎして挨拶に応えた。
「何をしている?」
アオイのそんな姿にティーダはおかしそうに笑う。
「ご挨拶をいただいたら、ちゃんとご挨拶しなくては・・・」
と、またおじぎをしている。
「お前はいずれ・・・俺の妻となるのだ。もっと堂々としていればいい」
アオイは無言のまま足元を見つめた。帰る場所もなく、誰を頼ることもできない・・・でも、このまま流されたままになるのは嫌・・・。
一層立派な扉の前に来るとティーダが入っていった。アオイは少し遅れながら足を踏み入れる。
「ここは俺の部屋だ。お前の部屋はこの奥にある」
奥・・・?
言われた方に目を向けると・・・
広い部屋のさらに奥に扉がある。
導かれるまま進むと、悠久にあるアオイの部屋にも負けぬ美しい天蓋ベッドや家具が用意されていた・・・。
驚いて立ち尽くしているアオイにティーダの声が届いた。