黒の刻印-1
・・・はずだった。
ふたりの攻撃は的を失い宙を引き裂く。見渡すとアオイを飲み込んだ黒い渦が一面に広がっていた。
「偉大な王ふたりを前に俺が何の準備もなく飛び込んでくると思ったか?」
『・・・・・・』
「王に対抗できるのは王だけ・・・」
『・・・中立を保つ[死の国]の王が力を貸したか・・・・・・』
「そう、マダラだよ。「俺の未来の花嫁を鳥かごから救出するのを手伝ってくれ」と言ったら快く引き受けてくれた」
「ふざけるなっっ!!!
今すぐアオイを返せ!!さすれば命は助けてやる・・・っ!!!」
『・・・我は貴様を助けるつもりはない』
エクシスは初めて愛した女を目の前で奪われ・・・持ち合わせたことのない怒りという感情に正気を失いつつあった。
禍々しい桁外れのエクシスの力が再び城を包む・・・。空間が捻じれ、女官や家臣たちがうめき声をあげている。生身の人間はもはや絶命も時間の問題だろう・・・。
城外にいたカイが何とか城の中に入ろうとすると他の家臣たちに行く手を阻まれた。
「一体何が起きているんですっ!!
アオイ姫様の気配が近くにないのですよ!!!」
「城内には王が3人もいるんだ!!
これ以上近づいたらお前が死ぬぞ!!!姫様の居場所はわからないが・・・キュリオ様がお傍にいらっしゃる!!きっと大丈夫だ!!!」
「ここで死ぬわけにはいかないんだよ俺は。花嫁を残して逝くつもりはない!!!」
キュリオは舌打ちして神剣の鞘を家臣たちのほうへ投げると、鞘は柔らかい光を放ち結界を生成した。
感情がコントロールできなくなったエクシスは城を吹き飛ばすことさえ厭わないだろう。
キュリオも次の攻撃へ体勢を整える。絶対に逃がすまいと憎悪に満ちた目でティーダを睨んで・・・。
「マダラに加勢してもらってるって言っただろう?今の俺はマダラが作った人形だよ」
『・・・・・・アオイを返せ・・・貴様と共にマダラも殺すぞ』
「断る。俺は欲しいものは必ず手に入れる!!・・・じゃあな」
キュリオの神剣が閃いた。
神剣はティーダの胴を切裂いたが・・・
マダラが作ったは人形の器は無機物さながらに吹き飛んだ。
『・・・・・アオイ・・・』