有ということ-1
「帰れ」
キュリオの一言に私は氷ついた。
ふたりは仲良しなはずなのに・・・
どうして・・・
『・・・お前に会いに来たのだアオイ』
そう言われて私は驚いた。
いつものエクシスじゃない、
「っ!!あるよっ!!これでしょっっ?」
ごそごそとあの石を取出しエクシスに見せた。
『・・・我は今なんと言った?お前に会いに来たと言ったはずだ』
間合いを詰められてエクシスの顔が迫った。また夢での出来事を思い出し、顔から火が出そうだ。
「あ、あの・・・っっ!」
と声を発したと同時に腰を抱かれ後ろに大きく体が移動した。
「お父様・・・」
『・・・・・・』
「お前たち・・・会うのは2度目じゃないな?」
『・・・だったら何だ?我はアオイを欲している』
「エクシス・・・」
エクシスがどんな意味で言っているのかわからない。友達が欲しいと思って言ってくれているなら嬉しいけれど・・・お父様がこんなに怒っているからにはもっと別な・・・
『・・・我は"無"だと言った。ならば"有"とはどんなものかとアオイは言った』
キュリオの手に力がこもる。
『・・・・・・我にとって"有"とは愛し愛されたいという願望を持つものだと考え、行きついた』
『・・・王の血族でもないアオイに触れることが出来るのは・・・我がそなたにその願望をもつからだ』
エクシスのそれは愛の告白以外の何でもなかった。驚きのあまりアオイが口を開けずにいると・・・
「アオイは私のものだ」
冷たい目でエクシスを睨みつけるキュリオはアオイの肩を強く引き寄せた。その瞳はそのままアオイに向けられ、
「ちゃんと返事をしてあげなさい。このままではエクシスがお前を諦められないだろう?」
そう言い放つキュリオの瞳には怒りが満ちていた。
「・・・おとうさ・・・ま・・・」
恐怖にも似た感情が私の体を震えさせる。(ふたりは親友のはずなのに・・・こんな喧嘩みたいな・・・)
エクシスと視線が絡む。
いつもは読み取れない表情の彼が何かを訴えるような眼差しを向けてくる。
「・・・こんなの嫌っ!!!どうして!?
争うことじゃないよ!!間違ってる!
お父様もエクシスも・・・どうしてこんなふうになるの・・・?」