変化-1
強引に夢から出て行ったアオイを思い出し、小さく笑うエクシスがいる。
(・・・わざわざ拾いに行ったのだろうか・・・見せたいがために?)
『・・・そなたに会いたいと思う我はどうかしているのか・・・?』
今まで感じたことのない欲求にエクシスは戸惑っていた。
それからアオイはおいしいケーキをおなかいっぱい食べている夢を見ていた。
はっと目を覚ましたときにはケーキの夢が色濃く余韻を残していたのだが・・・
枕元のあの石を目にしてエクシスとの口付けを思い出してしまった。
真っ赤になってあたふたしながら枕を抱きしめた。しかし、すぐにエクシスの顔が浮かんできて・・・あまりの恥ずかしさにベッドの上でもがく。
落ち着かないアオイは思い切ってベッドから飛び出した。
「そ、そうだっ!ケーキ!!うんっ!!」
勝手に納得しながら調理場に駆け込んだ。まだ朝も早い時間だというのにすでに料理を任された者が支度をはじめていた。
「これはこれは、姫様おはようございます。今日はお早いですな」
「お、おはようっ!!
夢の中でケーキ食べてたらどうしてもケーキ食べたくなっちゃって・・・」
アップルパイなら焼けていると、笑いながら一切れ皿にのせてくれた。と、とにかく暇になったらエクシスの顔が出てきてしまうためパイを口に含みながら急ぎ足で広間にでた。
『・・・早い朝食だな』
「っぶ・・・っ!!!!!」
『・・・相変わらず忙しい娘だ・・・』
アオイは目を見張った。
(エクシスがなぜここにっ!!!???)
「っど、どうしてっ!?」
すると大臣を従えて姿を現したのはキュリオだ。
「お、お父様・・・おはようございます」
アオイは平常心を装いながらも挨拶した。
「・・・何しにきたエクシス」
「・・・え?」
どうしてそんな言い方・・・と思っていると、
『・・・アオイに話があって来た』
「い、石っっ!?」
緊張に声が裏返ってしまい、ますます恥ずかしさに拍車をかけてしまったアオイだ。
『・・・私なりの"有"が何かわかった気がする・・・』
「エクシス・・・」
その話をしたときのエクシスを思い出し、アオイは頷いた(エクシスは自分を"無"だと言って・・・)