エクシス2-1
あれ?
精霊国の王様が間もなく悠久を訪ねてくると聞いていたけど・・・もしかして・・・
「・・・エクシスは王様なの・・・?」
「そうだよアオイ。彼は千年王なんだ」
「千年王?」
「齢1000年を越えた王は千年王と呼ばれ、王のなかでも最高位となるんだ」
驚きとあまりの神秘的な話を前に私はさぞ、マヌケな顔をしていたと思う。
はっと我に返って私はあわてた。
「エ、エクシス様・・・数々のご無礼申し訳ありません!!」
王の最高位であるエクシスを呼び捨てにしていたなんて・・・っっ!!!
『・・・エクシスと呼べば良い』
緊張する私にキュリオが笑いかけた。
「彼は名前で呼んでもらうことを望んでいるみたいだね。いつの間に知り合っていたんだい?」
「わ、わたしがエクシスさ・・・エクシスの夢にお邪魔させてもらってて・・・」
「夢・・・?」
『・・・そなたの娘なら我の夢に入り込んでも不思議ではあるまい・・・』
「・・・立ち話もなんだから・・・詳しい話は茶の席でいいかな?」
キュリオが機転を利かせて中庭へ誘導する。
流れるように歩くエクシスと途中目があった。目を見張るような美しさ。髪も肌も日に透けそうな感じだ。
何度も見ているはずなのに・・・実物のエクシスはもっと美しかった。
『・・・日を浴びたお前は夢の中より美しい』
独り言かのように呟かれた言葉に私の顔は真っ赤になった。
「・・・・・・」
先を歩くキュリオは横目で二人を見ていた・・・
中庭に着くとキュリオに少し席を離れるよう促され、私は頷き噴水の傍でハープの演奏をはじめる。
お父様から頂いた大切なハープ。クリスタルで作られた美しい装飾がついている。
綺麗な音色が流れるとキュリオとエクシスの視線は私に向けられた。二人と目があって私は微笑んだ。
キュリオは微笑み返してくれたけど・・・エクシスは読み取れない表情を向けている。
(エクシス・・・実態がないようなものだって、"無"に等しいって言ってた。エクシスの"有"って肉体を持つ人のことなの・・・?)
「あの子はね・・・アオイは私の娘だが、血の繋がらない娘なんだ」
『・・・どういうことだ・・・?』