エクシス-1
・・・ここはエクシスの夢?
辺りを見回すと水辺のほうから気配を感じた。
「エクシス・・・?」
『・・・お前か・・・・・・』
「隣に座ってもいい?」
『・・・好きにしろ』
「エクシスの夢って素敵なところね。」
『・・・・・・』
「他にあなたの夢に入ってくる人はいないの?」
『・・・ここに人は入ってこれぬ・・・我の実態がないようなものだからな・・・』
「ちゃんとここにいるのに?」
『・・・王同士ならば触れることも可能だが・・・我は"無"に等しい存在だ・・・』
「じゃあ・・・エクシスにとって"有"って何?」
『・・・・・・』
「王同士が触れ合えるなら・・・お父様の手に触れてみて」
「あたたかくて優しくて・・・心が満たされていくの」
アオイはキュリオの手を思い出すように目を閉じた。エクシスは黙ってそれを見ている。
『・・・次は悠久の地で会おう・・・』
・・・穏やかな風が流れて夢から覚めた。
ん?エクシスいつ来るんだろう?
夢の言葉を思い出しながら身を起こした。
今朝はとても目覚めが良い。
隣で眠っているキュリオを起こさぬようベッドから抜け出し、離れにある紅茶の葉を取りに出た。
朝食の場でキュリオとアオイが揃って広間に顔を出したため女官たちに笑顔が戻り、賑わいを見せた。
「失礼いたします。キュリオ様、エクシス様がいらっしゃいました」
「あぁ、わかった。今行く」
(エクシス・・・様?・・・様って・・・)
キュリオは穏やかな笑みをたたえ私の手をひいた。
(・・・お父様とお知り合いなの?)
城の扉が開いており、そこに立っていたのは紛れもなく・・・あのエクシスだった。
私が言葉を発するより先にキュリオが前にでた。
「久しいな!変わりないか、エクシス!」
『・・・久しぶりだな』
エクシスの翡翠色の瞳が私をとらえた。
気が付いたキュリオがアオイの背に手を添え、
「会わせたい娘というのはこの子だよエクシス」
と微笑んだ。
『・・・今朝ぶりだなアオイ・・・』
(やっぱり間違いないっ!!)
私は夢以外で初めてエクシスに会えた喜びをかみしめていた。