面接-3
「卯原さん、顔色が良くないですよ……なにか、心配な点でも?」
「いえ、あの……」
「いいですよ。気になることはどんどん質問してください。そのための面接でもあるんです。合否には関係ありませんので、どうぞご遠慮なく」
「わたし、不安、なんです……その、優秀な人材になんて、とてもなれそうもないし……こちらで本当にお役に立てるのかどうか……」
うつむいてしまったなぎさに、佐々川は優しく顔を上げるように諭した。履歴書をもう一度眺めてから、同情するように言った。
「卯原さんは、この以前の会社を辞められた後、かなり就職活動に御苦労されたようですね。厳しい状況なのはわかります。ただ、必要以上に自分を卑下してはいけない」
「えっ……」
「できないことを無理にやろうとするのではなく、卯原さんの良いところを、魅力を、最大限に伸ばしていけばいいんです。まだ少しお話しただけですが、卯原さんはとても素直で可愛らしい方だという印象を受けました。素直であるということ、また人に可愛らしいと思ってもらえること、これも立派な才能のひとつです。あなたには、ちゃんとした素晴らしい才能があるんですよ。自信を持ってください」
なぎさは胸が詰まった。佐々川の思いやりに満ちた言葉に、涙が溢れた。
「あ、ありがとうございます……そんなふうに、言っていただけるだけで……」
「本当のことです。卯原さん、弊社はあなたを採用するつもりで今日来ていただいたんです。もし、卯原さんが大丈夫であれば、女性専門の特殊部署で仮採用ということにさせていただきたいのですが、よろしいですか?具体的な条件として、年間の休日数はこれくらいで、給与は……」
佐々川の説明が半分も頭に入ってこない。仮採用という言葉だけがくるくると踊る。やっと、やっと就職先が決まる……
「は、はい! ありがとうございます」