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言えない気持ち
【その他 官能小説】

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言えない気持ち2-1

あの夜・・・茜の秘密がばれてしまった夜、茜は誠一の激しさを初めて知った。
あれから何度か肌を重ねたものの彼はいつもの様に優しく茜を抱いた。あの日の様な情熱的な抱かれ方はあれから一度もない。茜はどこかホッとしながらも、やはり心の底ではもう一度あの夜のように抱いて欲しいと思っていた。


今日は誠一の部屋でまったりデートだ。料理上手の茜はよく誠一に手料理を振舞う。好き嫌いの多い彼に喜んでもらう料理を作るのは少々骨の折れる作業ではあったが。それでも自分が作ったものを好きな人がおいしそうにニコニコ食べてくれるのを見るのは、やはりうれしいもので茜はこの日も気合を入れて料理を作った。

「ふぅ!ごっそーさん!うまかったよ」
お腹を擦りながら満足そうに誠一は言った。
「よかった。じゃ、コーヒー入れてくるね。」
茜はうれしそうに言って空いた茶碗を持ってキッチンへ行った。
横でお湯を沸かしながら茶碗を洗っていると、ふと、あの夜のことを思い出した。
『そういえばあの時はキッチンで・・・』
思わず顔を赤らめる。
『今日は・・・来ないのかな・・・?』
誠一はリビングでテレビでも見てるようだ。時々笑い声が聞こえてくる。
『ちょっと・・残念・・・・やだ、あたしったら』
ブンブンと頭を振り考えを止める。茶碗を洗い終わった頃ちょうどお湯が沸いたのでコーヒーを入れる。

いい香りがキッチンを満たす。茜はその香りを大きく吸い込んで気分を落ち着かせた。
「お待たせ」
誠一にカップを渡してから隣に座る。
「サンキュ」
受け取った誠一はまたテレビに見入ってバカ笑いしている。茜も一緒に見ていたが隣の誠一が気になって集中できない。ふと誠一が茜を見た。
「なぁに見つめてんの?」
「えっ?なんでもないよ」
慌ててテレビに目線を戻す。誠一は「ふ〜ん」とだけ言ってまたテレビを見て笑った。
『こんなにドキドキしてるのってあたしだけ?バカみたい』
近くにいるとどうしてもあの日を思い出してしまう。茜はとりあえず一人になることにした。
「お風呂入ってくる。誠一はテレビ見てて」
そう言ってバスルームへ行くとバスタブにお湯を溜めながらため息をついた。
『あたしってば・・・やっぱ、やらしいのかな・・あの夜のことが頭から離れないよ・・・』
あの夜、今度は自分も素直になろうと思ったはずだったのにちっともうまくいかない。変に意識してギクシャクしてしまう。

お湯が溜まったので服を脱ぎ、お気に入りの入浴剤をいれた湯にゆっくり浸かる。
「また・・あの時みたいにして・・・・なんて言えないよぅ・・・」
小さく呟く。
「あの時みたいに・・・」
茜の手が胸のつぼみを触りかけたその時、
「茜?俺も入るわ」
いきなり誠一が入ってきた。
「きゃあ!」
びっくりした茜は叫んだ。
「なんだよ。いつも一緒に入ってるだろ?」
苦笑しながらバスタブに入ってきた。誠一の住んでいる所はワンルームマンションなのでバスタブは決して広くはない。一緒に入るには膝の上に抱っこされるような体勢になる。
「茜・・・最近様子変だぞ?やっぱりあの夜のこと怒ってるのか?」
後ろから抱き締めるようにして誠一は言った。
「え?」
思ってもいなかったことを聞かれて茜は振り返る。
「ごめんな。」
誠一は辛そうな顔をしながら言った。
「誠一?そんな顔しないで。違うの。怒ってなんかないよ。」
慌てたように茜は言った。


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