チケット-2
翌日の放課後、今度は僕がサクラに屋上に呼び出された。
今、彼女はホッケーのユニフォームを着ている。
上下共にチェック柄の可愛らしいもので、下はスカートになっている。
僕も、ちらと練習風景は見たことがある。
詳しくないが、ホッケーは足ではなく棒を使うサッカーのような感じだろうか。
サッカー同様、接触プレーが多く、結構ハードな競技に見えた。
そんな厳しい競技にひたむきに打ち込む彼女も、また魅力的だった。
部活中は、彼女は長髪をアップにまとめるのだ。
そうすると、精悍なイメージがぐっと増した。
例えるなら、戦乙女(ヴァルキリー)、といった感じだろうか。
その彼女が、目の前にいる。
少々丈の短いスカートから、すらりとした小麦色の足がすっと伸びている。
僕が足を見ていることに気づいたのか、サクラが咳払いをして言った。
「呼び出してごめんね。とりあえず、これ、読んでくれるかな?」
僕に手紙を渡すと、じゃあ部活があるからと彼女はあっけなく去っていってしまった。
よほど忙しいのか、ホッケーが好きなのか。
便箋からは、今去った彼女から感じた精悍な印象は全く感じない。
いかにも女の子らしい、可愛らしい便箋。
この中に、彼女の出した答えがあるのか。
ホッケー部の主将としての彼女は、妥協を許さない厳しい一面もあるように見える。
そんな彼女の事だから、きっと真剣な回答が用意されているに違いない。
僕は、緊張した。心臓の鼓動が高まる。一体、どういう答えが出されたのか。
意を決して、便箋を開けた。
『特別指定席無料チケット! 土曜日夜7時、待ってます!』