拘束・汚辱-2
龍はあまり気乗りがしなかったが、そういう両親の勧めもあって、明くる日の放課後、職員室に理科の教師を訪ねることにした。
「沼口先生、いらっしゃいますか?」
窓際の席に座ってパソコンのキーボードを叩いていたその若い教師は目を上げた。そして大きな声で言った。「いるぞ。」彼は立ち上がり、職員室の入り口に立っている龍に向かって歩いてきた。
「どうした、海棠。」
「え?あ、あの、僕、理科が苦手でしょ?」
「『苦手でしょ?』って、俺に聞くな。お前自身のことだろ。」沼口は自分の親指をちょっと舐めて言った。
「そ、そうですね。で、あの、教えてほしいことがあって・・・・。」
「おお、なかなか勉強熱心じゃないか。いいぞ。喜んで教えてやろう。」
「ありがとうございます。」龍は小さな声で言った。
「なんだ、あんまり乗り気じゃなさそうだな。ま、どうせ親かなんかに強要されて来たんだろ?」
龍はちょっとむっとしたように言った。「い、いえ、僕の意志です。」
「わかったわかった。それじゃ、ここじゃなんだから、理科室に行こうか、海棠。」
「は、はい。」
沼口と龍は連れだって校舎の一階の端にある理科室に向かった。
理科室に入ると、沼口はドアを閉め、電灯をつけるとカーテンで全ての窓を覆った。
「で、何を教えてほしい?」
「生物の繁殖、ってところが僕にはさっぱり・・・・。」
「ふむ。ちょっとどきどきする部分だな。」
「え?」
「お前『受精』って説明できるか?」
「じゅ、受精ですか?」
「そう、受精。」
「えっと、花粉がめしべにくっついて、起こること・・・・。ですか?」
「つまり子孫を残すためのしくみのことだな。動物の場合は花粉じゃない、何だ?」
「え・・・っと・・・。」
「オスが子孫を残すためにメスに与えて受精させるものだよ。お前もオスだから時々出すだろ?」
「え?ぼ、僕まだメスを受精させたことなんか、ありません。」
沼口は大声で笑った。「お前、なかなか天然だな。」そうして彼は向かい合った龍の両肩に手を置いた。「精子だよ、精子。お前もここから出したことあるだろ?」沼口は笑みを浮かべて手を龍の股間に伸ばした。そして龍のペニスを着衣越しに柔らかく包みこんだ。
「あっ!」龍は身体を固くした。「や、やめてください、先生。」
「ごめんごめん。ちょっとやり過ぎた。」沼口はすぐに手を引っ込めた。
龍は黙って下を向いた。
「じゃあ、俺がお前のためにプリントを準備しておこう。明日また来い。」沼口は立ち上がった。「家で勉強できるように、ちょっとした問題もつけといてやるからな。」そして彼は龍を理科室から外へ導いた。
「あ、ありがとうございました・・・。」龍はぺこりと頭を下げ、そこを離れた。