家族-2
隼人の後ろについて階段を降りてくる友美。心臓が張り裂けそうなくらいドキドキしている。下に降りると、テーブルの椅子に座っている香織。二人は香織に対面して椅子に座る。
変な空気が流れる。香織の視線は斜め下、テーブルに向けられていた。少しの沈黙の後、テーブルを見つめたまま香織が口を開く。
「いつからそういう関係になったの…?」
言いづらそうな隼人。友美は香織の顔色を不安そうにチラッと見る。
「ち、中学生の頃から…。」
「そんな前から…」
溜め息をつく。一瞬の間を置いて、視線を徐々に上げながら言う。
「兄妹がそういう関係になっちゃいけない事くらい分かってるよね?隼人??」
「う、うん…。」
「友美?」
「うん…。」
歯切れの悪い返事をする。
「仲がいいとは思ってたけど、まさか肉体関係を持ってたなんて…」
頭を抱える香織。
「い、いけない事だとは思ってたけど、止められなかったんだ…。友美を守ろうとする程、大事に思えて来て、気づいたら好きになってて…、誰にも渡したくないって思えて来て…。」
「隼人?隼人は友美をずっと妹として見てたの?女として見てたの?」
「は、初めは妹として見てたよ。でも、友美が女っぽくなってきた頃から…、妹としてだけでは見れなくなってた…。」
「友美は?」
「…」
「どうしたの?」
「わ、私は…、小さい頃からお兄ちゃんと結婚したいって思ってた。だからきっと、私はお兄ちゃんの事を初めから兄以上の存在として見てたのかも知れない…。」
「そっか…。私がしっかりと兄妹とらいう関係を教えられなかったのも悪いんだね…。」
「お母さんは悪くないよ!友美も悪くない。俺が友美を女として見た時点でこういう事になったんだ!俺の責任だよ!」
香織は隼人をじっと見つめながら言った。
「隼人だけが悪い訳じゃないわ?隼人には子供の頃から助けて貰ってばかりで感謝してるわ?ホント、お父さんの生き写しみたいだわ。」
「…」
友美がチラッと隼人を見ると、少し焦ったように見えた。
息を大きく吸い込んでゆっくりと吐き出した香織。表情を変えずに隼人に向かって言った。
「隼人、このままの環境はあなた達にとって良くないわ?隼人、あなたの籍を戸籍から外すわ。」
取り乱したのは友美だた。
「な、何で!?何でそんな酷い事するの!!お兄ちゃんがいたから家はここまでやって来れたんでしょ!?それに私だって悪いのに!お兄ちゃんが籍を外されるなら私も外して!!」
今にも泣き出しそうな友美だった。