再会-1
それからのアオイは修行に励んでいた。朝から出かけたと思えば夕方になり戻ってくる。そのまま疲れて部屋で眠ってしまうことも多くなった。
「アオイが夕食をとっていない?」
心配した女官がキュリオに相談していた。今日も食事をとらずに部屋に戻ってしまったという。
体を壊しているのではないかとキュリオはアオイの部屋を訪ねた。
「アオイ?起きているかい」
案の定返事がない。
中に入るとベッドで眠っているアオイの姿があった。シャワーを浴びてそのままベッドに入ったようだ。髪も濡れている。
ところどころ生傷・・・深い傷まであるのを見てキュリオは回復の祈りを唱えた。一瞬にして全ての傷が消えてゆく。
治す速度、完治具合を見てもキュリオの能力の高さがわかる。
キュリオはアオイの濡れた髪をタオルで包み、優しくなでた。心地よい指使いにアオイの眠りはさらに深くなっていった。
『・・・久しぶりだな・・・』
「・・・エクシス?」
ゆっくり目を開けると、いつしか見た美しい森の中にいた。
『・・・アオイだったか・・・その姿、悠久の国の者か・・・?』
五大国の民はそれぞれ違う容姿で、人の姿をしているのは悠久の民だ。他国では位により角があったり牙を持っていたりと様々だ。
「はいっ私悠久の民です」
『・・・そうか』
「エクシスは?エクシスはどこの国にいるの?」
『・・・我は精霊国だ』
「精霊国?あ・・・、お父様がおっしゃっていました精霊の王様ともうすぐ会えるんだって」
『・・・父?・・・キュリオの娘とはお前のことか・・・?』
「はいっ私、キュリオお父様の娘です」
『・・・そうか。ならばこの夢に入り込めたのも不思議ではない・・・な・・・』
「・・・・・・?」
『・・・ではな。また縁があれば会えるだろう・・・・・・』
アオイはうっすらと目を開けた。
見慣れた自分の部屋の天井がみえる。体を起こすと何かにぶつかった。
「お父様・・・?」
アオイの頭の上で腕枕をして眠っているキュリオがいた。
そして、驚いて飛び上がったにも関わらず修行の傷が痛まないことに首をかしげた。
(お父様・・・)
タイミングから言っても傷を治したのはキュリオに違いなかった。