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翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

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二人の王-1

キュリオはエクシスの使いの者と顔を合せていた。使いの精霊は形を持たぬが、人の身であるキュリオに合わせ人の形で訪れていた。






相手に姿を見せるのは精霊にとって最大の敬意であり、エクシスのような精霊の王ともなれば、その身を拝むことなど皆無に等しい。





キュリオは使いの精霊に快くエクシスからの返事を受けた。






「そなたに会わせたい娘がいる、と伝えてくれるか」




『・・・御意。』




精霊は多くを語らず、寡黙なものが多い。風の精霊ならよく言葉を発するようだが速さを有するこの光の精霊はほとんどしゃべらない。





エクシスはいつも気まぐれでたまに悠久に訪れているようだが、城内まで来るのは本当に稀だ。





最後に会ったのは・・・かれこれ20年ほど前だ。気候や風土が似ているせいだろうか?それとも二人の王の性格が合うのか・・・?この二ヶ国は仲が良いのだ。



エクシスは相手を選ぶため、未だに顔を合せたことがない王さえいるという。ティーダとは犬猿の仲で会いたくもないらしい。



使いの精霊を見送っていると、アオイの声がした。


「お父様はどちらに?」


くすっと笑ってキュリオが広間に戻っていった。


「何度目のおはようかな」


意味深な微笑みを含めキュリオが姿を見せた。



「あっ・・・」



すぐ赤くなるアオイが可愛い。
公にはまだ秘密に・・・と思ったが、脆く崩れてしまいそうだ。抱きしめたい衝動を抑えるのが精一杯で、紛らわせるようにアオイの頭をなでた。



「お父様ずるい・・・」



拗ねたように真っ赤になって頬をふくらませている。アオイにはキュリオが大人の余裕で自分をからかっているようにしか見えないのだ。


夢に現れたエクシスのことを聞いてみようと思っていたアオイだが、すっかり忘れてしまっていた。


朝食をすませると、早々にアオイは中庭に出て行った。
カイが瓦礫を片付けていたのだ。

昨日激しく体を打ち付けられたカイはその痛みに耐えていた。冷や汗が滲み、明らかに無理をしている。


怒ったアオイがカイを突き飛ばし、回復の祈りを唱えてる姿がみえる。
柔らかな光の柱がたち、カイを包んでいた。


キュリオは二人が仲良くじゃれているのを見ても今までのような焦りはなかった。



深い愛情がアオイとキュリオの心を繋いでいるのだ。




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