富田林氏の逆襲!-1
オレはコピー機のセールス活動に奮闘するナンバーワン営業マンの富田林や。
営業マンのオレは何故か「黄金の左を持つ男」と呼ばれている。ホンマは自称やけどな!
オレの左手はオレに黄金に匹敵するモノを与えてくれるんやでぇ〜!
しかし、オレはいつの頃からか、黄金の左手の効力を自ら封印していたようや!いやいや、全く封印してた訳ないで、最近、嫁はんとご無沙汰やったから結構活躍の機会が…
ははは、その話はエエやんけ!照れるがな!し、しかしや!そのこと以外に使ってないことをさっき思い出したんや!
普通の日やったら、別に黄金の左を使わんでもソコソコいけるんやけど、今日は踏んだり蹴ったりの日やったんや。
顧客のボケ社長に無理難題を言われるし、嫁はんの浮気現場を目撃するし、もう最悪の日やった。
こんな日は普通にやったらアカンかったんや!ん?何をやるかて?ガチャガチャやんけ!
オレは趣味であるガチャガチャに命を掛けてるんや!ガチャガチャなめたらあかんで!奥がメチャメチャ広いんやで。ガバガバのスカスカみたいに広いんや!
今、やってたのが「世界の亀名鑑♪第8弾」や!普通に24回回したら確立的に9種類コンプリットするはずやねんけど、今日のオレは36回回して5種類しかゲットできてない。
金も底をついたどん詰まり状態になって思い出したんや、黄金の左の効力を!今、左手の中には100円玉が2枚。このままやったら1回300円のガチャガチャがでけへんがな。
今日はコンプリットは無理として、黄金の左手の効力だけは確かめておきたいんや!どっかに100円くらい落ちてへんかな…
ちょっとサーチしてみよか。目をつぶって黄金の左手をかざすと―
ん?ヒクヒク手のひらが反応するやんけ?反応するのはどこや?ん?あそこにあるのはパチンコ屋の景品交換所。金の集まる場所やなあ。
あれれ?パチンコ屋の景品交換所の下に何か落ちてるやんけ。あれは、もしかしてあれちゃうか?
そうや!金や!それも500円玉や―――!ガチャ神様は見捨ててないで!
よし、とりあえずゲットしたモノを用意してた紙袋に入れてと。さりげな〜く、さりげな〜く景品交換所へ移動や。
お〜!やっぱり500円玉やがな!ラッキー!
誰も見てへんな?よし今や!
おっと、間が悪いのう、パチンコ屋から客が出て来よったがな。
カップルか…しかし、あいつエエ女連れとるの〜!めっちゃエエスタイルしてるやんけ!ごくり。
(富田林氏、しばし女のケツをガン見中)
「タッちゃ〜ん!メチャメチャ出たやんか!凄すぎやわ」
「よう出たの〜!しゃーけど勝ちすぎてもおもろないわ。もう今日は止めや!」
うらやましいヤツやのう!どうでもエエけど早く交換所から立ち去ってくれ!せやないとそこに落ちてる500円拾われへんやんけ!
「よっしゃ!交換完了や!しゃーけど小銭も結構増えたな〜。オレ札入れしか持てへんから小銭鬱陶しいわ。ほんで次は何しよ?」
「タッちゃん、ナニしよって、やっぱりナニしか無いやろ!あっちの方ホテルばかりやし」
こいつら昼間からナニ羨ましいこと言うとんねん!
「お前、スケベやのう!まあええ、ほんなら一発ナニしよかい!」
ふん、ようやく交換所から動きよったやんけ!ムッチャロスタイムやったわ!これやこれ、お〜!500円玉や〜!ラッキー!
「うわっ、いややわ!あのオッサン見てみ」
ん?オレのことか?
「何が?」
「さっきあたしのお尻ジロジロ見ててんでぇ、ほんで前膨らませてニヤニヤしてんねん。きっしょ〜!」
何やて?うわっ、ホンマや!ガチャガチャピンでムックリの『回せ!勃ッキッキー♪』現象のままやんけ!恥ずかし…
「構うな構うなただの変質者や、この辺一杯おるで」
誰が変質者やねん。まあ、エエ許したろ、オレの気分が良かってお前ら助かったの〜!
「でも、メッチャ小さかったでぇ〜」
何やと―――!
「放っといたれ放っといたれ、そんなん言うたったら可哀想や!」
やっぱり男同志やな、このガキ同類の悩みを知ってるやんけ。
「おっ、ガチャガチャやんけ!懐かしいのう。小銭がチャラチャラ鬱陶しいし、ちょっと回してみよか!」