わからないキモチ-1
「ぅあっっ・・・・・・!!!」
ゾクリとするような真っ黒な力が足元から激しく湧きあがった。
「くっくっ・・・結界返しだよ。君が結界を生成する前に俺が先に仕込んでおいたのさ」
アオイの結界はどんどん力を失って辺りにはティーダの闇の力が満ちていた。
カイは光の速さで剣を抜きティーダに襲いかかる。だが、ティーダの爪に受け止められそのまま地面に叩きつけられた。大地に縫い合わされたように体が動かない。ティーダの闇の力が圧倒的に強いのだ。
「くっそ・・・!!!」
「カイッ!!!!!」
慌てて駆け寄ろうとするアオイの目の前にティーダが立ちはだかる。
「逢いたかったよ私の美姫・・・」
ティーダの手がアオイの頬に触れた。キュリオとは違う冷たい指に背筋が凍る。
「ぃ、ぃやっっ!!!!!」
反射的に拒否したアオイからキュリオの気配がした。
「・・・!!!」
身構えたティーダに向かって大きな光が飛んできた。驚いたアオイだが自分の中にキュリオの存在を感じた。(おとう、さ・・・ま・・・?)
いつもキュリオはアオイに触れるたび加護の力を注いでいた。離れていてもアオイを守れるようにと・・・。
野放しになったドラゴンが城壁を破壊し、女官が助けをもとめて悲鳴をあげている。魔導師たちが応戦するが5本爪のドラゴンが相手とあっては苦戦する一方だ。
キュリオの力を感じたティーダが不機嫌そうに再度アオイに近づき、
「来たか・・・」
疑問に思ったアオイがティーダの後ろに目をやるとキュリオが立っていた。見たこともない形相で・・・
「っお父様っ!!!」
嬉しさが込み上げてティーダの手をすり抜けようとしたとき。
「ん・・・っっ!!!!」
感じたことのない感触が唇を襲った。
「ティーダァァァッッッ!!!」
茫然と立ちすくむアオイの耳にキュリオの声が響く。
「必ず迎えに来る!お前が気に入った」
アオイに口付けを残しティーダはドラゴンと共に消えた。
キュリオはアオイに駆け寄りきつく抱きしめ・・・複雑な言葉に出来ない感情と葛藤していた。
「アオイ・・・すまない・・・」
「お父様・・・」
アオイは必死にキュリオの温もりを確かめるようにしがみついた。落ち着いてくるとティーダの口付けの感触が蘇ってくる。震える体を必死に抑えながら、
「皆の手当をしなくては・・・」
とキュリオから離れた。