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ジャングルジムの上で
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ジャングルジムの上で-2

No.4
5月12日。雨。普段は雨なんか降ってたらあそこにには行かない。でも今日は行かなきゃならない。ユズリが待ってるから。俺は焦っていた。何故かは解らないが、今日行かなければもうユズリに会えなくなると思ったから。理由はただあのユズリの言葉があまりにも重く、遠いものだったから。ただそれだけ。
走った。俺は焦っていた。ユズリに会って言いたいことがある。それは今まで誰にも言ったことのない言葉。俺の本当の気持ち。
いつも通り何も変わらない公園。ただ一つ違うところはユズリが居ない事。見渡した。何処までも。あのジャングルジムも。何処にもユズリは居ない。心から何かが込み上げる。それが悲しみだと解ったのは地面に落ちた涙を見た時。

『お兄さん。』
聞き覚えのある声。気が付いて振り向く。そこにはユズリが居た。何時もと様子が違う。身体が透けていた。
「お前..」
『今日は私の命日なの。』
その言葉で俺はやっと気付いた。
『お兄さんとなんて出逢わなければ良かった。じゃなきゃこんな気持ちにならなかったのに。』
「バーカ。お互い様だろ..?」
そう言って俺はユズリを抱きしめていた。
「ありがとう。」
『うん。』
涙に濡れた顔で精一杯の、何時も通りの笑顔をくれた。
『忘れないでね。いつかまた逢えるから..』
そう言ってユズリは消えて行った。


あれからどれくらい時が過ぎただろう。今俺はちゃんと学校へ行ってる。でもそれは親の為じゃなくて自分の為に。今迄の俺は厭な事から逃げれば済むと思っていたんだ。でもそれは違うんだってユズリが教えてくれた。やりたいことが見つかった。だから俺はそれに向かって生きる。そしていつか親を見返す。その為に俺は此処に居るんだって思える。ユズリと出逢えて本当に良かった。今日は久しぶりにあの公園に行ってみようと思う。忘れられない思い出が生まれた場所へ。
同時刻--

《ユズリー!!今日カラオケ行かない?》
『え..今日はいいや。』
《何でー?どっか行くの?》
『ぅーん..ちょっと..公園?』
《公園!?何しによ!!?》
『ただ何となく。今日はどうしても行かなきゃならない気がするから...』

end...


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