出会い-1
巨大勢力を持つ五大国にはそれぞれ偉大な王がいた。
[死の国]王はマダラ、[吸血鬼の国]王はティーダ、[雷の国]王はエデン、[精霊国]王はエクシス。そして[悠久の国]王はキュリオ。
数百年続く冷戦の中、キュリオは枯れかけた泉に杖をつきまばゆい光で泉を満たす。みるみる輝く水が湧きだし大地を潤した。安心したようにそこから離れると、
「キュリオ様!!」
家臣が声をあげて走ってきた。
「どうした?」
キュリオは家臣の次の言葉を待つ。
「霊獣の森で赤ん坊の泣き声がしまして、現在数人が捜査に向かっているところでございます!」
「赤ん坊が霊獣の森に?」
(親に捨てられたのか・・・)
キュリオは胸を痛めながら自らも霊獣の森へと足を向けた。
森の中を歩くとユニコーンが赤ん坊を守るように立ちはだかっている。
キュリオは怯えることもなくユニコーンの傍に立つと優しく頭をなでる。警戒心の強いユニコーンに近づくことが出来るなどキュリオ以外いないだろう。
「ああ、心配ない。私が預かろう。」
ユニコーンはキュリオが赤ん坊を抱きかかえたのを確認するとどこかへ行ってしまった。人も獣も大自然さえもキュリオが絶対的な王であることを認めているのだ。
「よく眠っている。おなごか・・・?」
心配する家臣に城に帰還すると合図を送り、キュリオたちはその場を後にした。