ホテルで待つ女-1
桜井恵子(サクライケイコ)はドキドキしながら、指定されたホテルの一室でその時が来るのを待っていた。
ここに来るまでの間に、下着が濡れていることは自覚していた恵子だったが、今更どうすることもできなかった。
コンコン!
待ち合わせの時間丁度にドアがノックされた。
(来たわ)
恵子の顔は期待で赤く染まり、ドキドキとともに敏感な下半身が疼いて仕方がなかった。
昨晩の自慰の快感が恵子の股間に一瞬過り、ドアへと向かう次の動作がワンテンポ遅れてしまった。恵子を催促するようにノックが繰り返された。
コンコン!
恵子はドアノブを握り、緊張をほぐすように「ふーっ」と大きく息を吐いてから、おずおずとドアを開けて、遠慮がちに外をうかがった。そこには1ヶ月間にわたって待ちわびた男が立っていた。
年齢不詳、やや整った顔立ちは女性受けをしそうな雰囲気があり、恵子の父親とタイプが似ていた。写真で見るより実物の方が断然よかったので恵子は密かに安堵した。
男は挨拶することも無く部屋に入ると、いきなり恵子を抱きしめて唇を奪った。
突然のことに身を固くした恵子だったが、男の手慣れた動作と、その体温を感じることで徐々に緊張がほぐれてきた。
男の舌の動きに応じて唇を開いた恵子は、受け入れたその男の舌の動きで、どんどん脱力していくのを感じた。
執拗なディープキスで力の抜けた恵子は、男の支え無しでは立っていられなくなっていた。そんな恵子を男は軽々と抱き上げて、何も言わずにベッドへと運んでいった。
恵子はまたもや驚いた。少しお話をして打ち解けてからと思っていたのに、イキナリ『それ』とは思わなかった。
そう、今日のオフ会のテーマである【セックスをする】を、会ったその瞬間に実行されるとは思わなかったのだ。