fainal1/2-22
「フンッ!」
全力で投じた省吾。指の掛かり具合から、最高の真っ直ぐだと確信した。
だが、ボールは達也の構えた位置より若干内側に入ってしまった。
──キンッ!
バッターは大きく右足を踏み出し、鋭いバットの振りでボールを強く叩いた。
大きな金属音を残し、打球はライトの上空を高々と舞った。
「バック!バック!」
定位置を守ってた加賀が、打球を目で追いながら、フェンスに向かって走った。
だが、風に乗った打球は大きな放物線を描いて、フェンスの向こうでバウンドした。
「せ、先頭打者ホームラン……」
惚けたように佳代が言った。ベンチの誰もが、いや、打たれた省吾自身さえも、唖然とした様子で打球の落ちた位置を見つめていた。
試合開始直後の余韻が残る中、バッターはホームを踏んだ。青葉中は、早くもビハインドを背負う事となった。
しかし、それは波乱な展開の序章に過ぎなかった。
「やっぱすっきゃねん!」fainal1/2完