花退治-4
「厄介だな」
体の構成について、鬼は従順に答えた。
燃料は通常のもの。保守無しで動ける期間は最長で七年。作成者は、永昌の聞いたこともない僧の名だった。所在は不明。
製造された年は、幾度質問の形式を変えて尋ねてもはっきりとしない。記憶が破損しているのかもしれない。
そばで見ると、錦の衣はだいぶ古びているのがわかる。
七年。
発声器官の劣化から見てすでに経過した可能性は高い。
…何を考えている。
永昌は頭を振った。まるで、期間がまだ残っていれば、処分しないつもりでいるようではないか。
そうはいかないことを、彼は十分にわかっていた。
女の鬼の目が、彼の意図を察したように不安に曇る。だがそれも錯覚だ。
人型鬼の製造が禁止されたのはこのせいだ。
人間の方が、普通ではいられない。人形に対するようではとてもいられない。
彼は、意識的に目をそらしながら、一つの言葉をつぶやいた。
鬼の活動を永久に停止する呪言だ。
あっさりと、無抵抗に、花のような鬼は動きを止めた。
それが生物の死ではないと知っていても、永昌の胸は痛んでいた。