理性の限界-2
ビールを飲みながらくだらない話をしていたら、いつの間にか時計は日付を跨いでいた。
「ふぁぁ、眠くなってきた。私寝る」
「私寝るって何だ、俺だって寝るわっ」
用意ドン!と言って洗面所まで2人で走った。浴衣なのでうまく走れないのが歯がゆかった。
歯ブラシの袋をピリピリ破り、小さい歯磨き粉のチューブからホイップクリームみたいな歯磨き粉をブラシに乗せ、歯を磨いた。
鏡越しに見えるリンに向かって、何となく笑い掛けた。
彼もつられて、温かい笑顔を返してくれた。
「はい、じゃぁ電気消しまーす。夜中に女子の部屋には行かないよーに。特に高橋!」
「何だよそりゃ」
苦笑しながらリンがぼやいた。
真っ暗で、空調もオフにしている部屋は、小さい冷蔵庫の低い稼働音だけが響く。
暫くそれを聴きながら眠りに入ろうとしていたが、ゴソゴソと、リンが動く音がした。
私の布団に入り込み、そして抱いた。
「もう、限界だ。俺は我慢できねぇ」
そして私の唇に自身の唇を重ねた。唇を舌で濡らされ、開いた途端に舌が入り込み、口内を弄られる。
その瞬間、理性なんてもんはぶっ飛び、私も夢中で貪った。彼の舌に吸い付き、呼吸の隙すら与えなかった。
着ていた浴衣はその時点でもう着衣の意味をなしていなくて、リンのゴツゴツした手で下着をはぎ取られる。私は彼の背中に腕を回し、帯を解いた。
「俺の美奈でいてくれ」そう言って肩を強く吸われた。
身体のあちこちを手で、指で弄られ、舌で舐められ、私は身体を痙攣させる様に果てた。
彼は――こいつ、絶倫?様々な体位で実に3回もイった。自分の実力を知っているのだろう、きちんとコンドームを5個持ってきていた。
私はヘロヘロで、全裸のままですぐ眠りについてしまって、後始末は覚えていない。
翌朝目が覚めると、全裸である事に気付いた。強く吸われた左肩には、紫色の楕円形がくっきりと刻み込まれていた。「中二かよ」ぽつりと言った。
着る物を着ようと周りを見渡すと、とんでもない方向にショーツが飛んで行っていた。
リンが起きる前にダッシュで取りに行くかと考えていた矢先、彼が「んんぅー」と子供の様な声を出しながら伸びをし、目覚めた。
「おはようございます」
「おはよ、今何時ぃ?」
掠れた声で言うリンが可愛くて仕方がない。
「7時半。パンツとってきて」
ショーツが飛んで行った方向を指さすと、よっこらしょと声に出して立ち上がり、くしゃくしゃに丸めて手渡してくれた。彼はちゃっかりボクサーパンツを履いていた。
「浴衣も」と言うと「はいはい仰せの通り」と言いながら回収してきてくれた。