バリアフリー-1
「それはそうと、」マユミが言った。「ケニーのケン兄への口内射精。あれにはびっくりした。あたし。」
「え?!ケンジの口に出したのか?ケネス。」
「そ、そうやねん。」ケネスは少し申し訳なさそうに言った。
「へえ!やるね、ケンジも。」
マユミが言った。「ケン兄、どうだったの?実際。」
「たぶん、」ケンジは言葉を選びながら言った。「ケニーじゃなきゃしなかったことだと思うけど、俺、なんか、ケニーのことが前からずっと好きだったような気がする。」
「やっぱりあの夢のせい?」
「それは大きいけど、なんか、ケニーだったら抱かれてもいい、みたいな、不思議な感情っていうか・・・・。」
「まずかったやろ?ケンジ。」
「いや、そうでもない。」ケンジは微笑んだ。「やっぱりさ、好きなヤツのもの、って、おいしいとまではいかなくても、うれしい、って感じがするのは確かだな。少なくとも苦にはならなかったよ。」
「ケン兄とケニーのキスもワイルドで濃厚だったよね。」マユミが言った。「なんかサマになってた。」
「わいも、ケンジとキスしてた時は、身体がどんどん熱くなってたわ。」
「俺が夢で経験したキスと同じだったよ。」ケンジが言った。
「ケンジ・・・。」ケネスが潤んだ目でケンジを見た。「お前が親友でほんまによかったわ。またキスしたるさかいな。何なら今からでも・・・・。」ケネスがケンジの肩に手を掛けた。そしてケンジの顔に唇を突きだして迫った。
「こっ、こらっ!こ、こんなとこでやるやつがあるかっ!」ケンジは真っ赤になって叫んだ。しかしケネスは構わずケンジをその場に押し倒し、口を塞いだ。「むぐぐっ!ケニ・・・や、やめっ!んんん。」口を塞がれたままケンジは呻いた。
ミカもマユミも笑った。
「ミカ姉さん。」マユミが口を開いた。
「なに?」
「あの時の姉さんのキス、ちょっとびっくりしちゃった。」
「ごめん、いやだった?」
「ううん。とってもよかった。何だかシュークリームみたいだった。」
ケンジがケネスに覆い被さられたまま言った「シュークリーム?」
「甘くて、柔らかくて、しっとりしてて・・・。」
「あたしもさ、マユミじゃなきゃ、あんなことしなかったよ。」
「そうなの?」
どすっ!ばたっ!「こっ!こらっ!ケニー、乳首ダメだって言っただろっ!あ、ああああ・・。」
「ケンジ、相変わらず乳首、感度ええな。このままなだれ込もうやないか。」
テーブルの横でケネスとケンジは絡み合っている。「いいかげんにしろっ!ケニー。あ、あああ、そ、そこは・・・。」
「やかましいっ!」ミカが一喝した。
「ちょっと待って、」マユミがミカの肩に手を置いた。
「ん?どうしたの?マユミ。」
「ケニー、今、何て言った?」
「へ?」ケンジを押さえつけたまま、ケネスは動きを止めた。
「『相変わらず』って聞こえたけど・・・。」
「そう言えば、そう聞こえたな・・・。おい、ケンジ。」
「な、何かな?」ケンジは引きつった笑いを浮かべて目を泳がせ始めた。
「あんたたち、今回が初めてじゃないね?もしかして。」
ケネスは慌ててケンジから身体を離した。
「な、何のことや?ミカ姉、わいにはさっぱり・・・。」
ケネスに脱がされかけて胸が大きくはだけてしまっていた赤いアロハシャツを着直しながらケンジが言った。「ミ、ミカがマユにキスしたこと、話してたんじゃなかったっけ?」
「ごまかすな。そうだったのか・・・・。あんたたち、もうすでに一線を越えてたのか・・・。知らなかった。」
「あたしもわからなかったな。二人がすでにそんな関係だったなんて。」マユミはそれでもニコニコしながら言った。
「え・・・・っと・・・・。」ケンジは赤面してうつむいた。
「でも、」ミカがマユミに視線を投げて言った。「実はあたしたちも、初めてじゃなかったんだよねー。」
「ええっ?!」ケンジとケネスは同時に叫んだ。
「ミカ姉さんのキス、あたし大好きなんだよ。」マユミは少し顔を赤らめた。
「あたしも好きだよ、マユミの唇。」ミカは男たちの方を振り向いた。「それはね、もしかすると、ケンジの双子の妹だから、って思ったからかもしれないし、いや、そうじゃないか、たぶんマユミのふわんとした雰囲気があたしにないモノだし、何よりあたし、マユミの身体見てると自分のカラダの芯が熱くなってくるんだ。変だよね。」
「どっひゃーっ!」ケンジもケネスも仰け反った。