【鳥は飛ぶ−かっこわるい2−】-4
『にしても、空が濃いな』
「あぁ」
『雲。あー。これはそっちには無いか』
「…当たり前だろ」
『クククッ。…月、高いところにあるな。ちょっと欠けてる』
「だな」
同じだ。少し欠けた月。
『なぁ。僕、飛べなくていいや』
訳はわからない。ただ、俺と同じ空を見てる。それがうれしかった。
『この空、見えてるか?なぁ僕たちの距離なんてこんなもんだよ』
さっきとは違う涙が流れる。とても暖かい。
『鳥さ、この空の下にいるさ』
今更と思いながら、泣いている事を隠そうとしてみた。
「俊になんて言おう」
『は?知ってる?鳥は飛ぶのが当たり前なんだよ?』
「バカにするな」
『だろ?』
「何も解決してねえな」
『そんなもんだよ』
鳥は飛べた。だから飛んだ。
なぁ。俺は飛べるか?初めて飛ぶ空は恐ろしいか?
俺はさ、羨ましかったんだ。本当は凄く。
俺はさ、焦ってたんだ。何がしたいかわからないなんてかっこわるくて。
なぁ、待っていてくれるか?先にある何か。
まだ、もうちょいかかる。ゆっくりだし。
苦しいかな。つらいかな。
『僕たちがいるさ』
頼りにしてるぜ。
end