ミカの計画-1
「腹減ったっ。」龍が出し抜けに言った。
「俺も、」「あたしも」健太郎と真雪も言った。
「よしっ!めしにすっか!」ミカが威勢良く言った。
連れだってビーチを歩く7人をいろんな人種の男女がちらちらと目で追った。ケンジたちはその目を少し気にしながらホテルに戻っていった。
コンドミニアムで料理の腕を奮ったのはミカとマユミだった。材料を調達したのはもちろん言葉の達者なケネス。
「ほら、あんたたち、遊んでないでサラダぐらい作りな。」ミカが床でカードゲームをしているケンジと子どもたちに声を掛けた。
やがてテーブルに昼食が広げられた。シーフードサラダ、冷製スープに牛肉のソテー、そしてペペロンチーノのパスタ。
「ま、こんなもんだろ。」ミカが満足そうに言った。「よしっ、乾杯だ。」
大人たちはビールだったりワインだったり、子どもたちはコーラだったりジンジャーエールだったり。それぞれグラスを手に持った。
「え〜それでは、ケンジとマユミの初体験記念日に、」
「え?『初体験』?」真雪が言った。
「ちょっと待て、ミカ。」
「何よ。」
「な、何だよ、初体験記念日って。」ケンジが子どもの手前おろおろして言った。
「だって初体験だろ、チョコをあなたがマユミに買ってやった。」
「そんなの初体験って言うかよ!」ケンジが赤くなって言った。
「どうでもいいからかんぱーい!」ミカは構わずグラスを上げた。
「乾杯!」テーブルを囲んだ他の6人も叫んだ。