契り-10
布団の中で青年は、雪子の胸で抱かれていた。
その彼の坊主頭を撫でながら雪子は言った。
「ねえ、木村君、きっと帰ってくるのよ、死んじゃだめ・・良いわね」
「はい、おばさん、きっと帰ってきます」
「そうね、そうよ」
「うん」
「もし帰ってきたら、おばさんお赤飯を炊いて待っているわ、それから・・」
「それから?」
「こうして、おばさんとまたこうして気持ちいいことしましょ」
「うん、きっと帰ってくるからね、おばさん」
「今は、おばさんじゃなく、雪子と呼んで」
「はい、雪子さん」
「嬉しい!」
あれほど性の行為をした二人なのに、また火が付いたようである。
雪子の上に重なった青年は正常位で彼女の膣の中に挿入した。
暗かった空が、いつの間にか明るくなり始めていた。
青年は雪子と繋がったまま疲れ果て、
彼女の上に重なって昼頃まで寝ていた。
隣の家のラジオ放送が、いきなり興奮した声で叫んでいた。
「臨時ニュースを申し上げます。 臨時ニュースを申し上げます。
本日、戦争は終わりました・・・
我が、ニッポンは・・・」
暑い夏で、いつまでも蝉が鳴いていた。