第4章-8
ここからは新しい女の有希子の話をしよう。
さきほどの女のことでも書いたが
女を安心させる為に、自分のことを教えること、
その範囲は人により違うが、
それがSMともなれば現実味を帯びてくる。
勿論、秘密に出来て上手くいけば、それはそれで良い。
私の場合を述べたまでだ。
これでフィフティ・フィフティである。
女が、私の奴隷になるそのときどきの瞬間で、
私の奴隷であればそれで良いのだ。
女を後で騙したり、ゆすったりとゲスのやるようなことはしない。
だから今までにも、
調教で多くの女達が私に消えない肉体への傷を残されても
何の恨み言も言わず、むしろ感謝されている。
女という生き物は敏感であり、
それを瞬間で察知する不思議な感覚を持っている。
そういう意味では有希子も同じだった。
リアルで逢ったとき、私も有希子もお互いを理解できた。
(この女なら、私に付いてきそうだ・・)
(この男性なら、心から身体を任せて良いのよね・・)
逢った週間から、私と有希子は理解し合った。
まず、午後の気怠いような時間の中で有希子と待ち合わせをした。
電話で、有希子が直ぐに分かるようにとの心遣いで、
私は直ぐ見つけることが出来た。
そこは都内の駅前にある喫茶店の中である。
ホテルへ直行する前に、心を落ち着かせてからが良いと思ったからだ。
「あぁ、ご主人様ですね、有希子と申します」
「うん、わかったよ、すぐ有希子だとね」
「はい、嬉しいです」
「まあ、座って」
「はい・・」