第4章-2
彼女を安心させる為に、私も素性を有希子に教えた。
何かあれば、有希子は私の名前も住まいも知っており、
いざという場合の対応が出来るという訳だ。
それは私が有希子に与えた安心であり、
信頼の表れでもあった。
巷には、女を騙して犯し、逃げるような最低の男もいるのが事実である。
それ故に、心ある女ならば臆病なほど用心をするのだ。
その心配が無くなったとき、
女達は自分の本性をさらけ出し、
この女が?・・・と思うほど乱れる。
特に名の知れた女や、教育に携わる女などはそれが顕著になる。
私はそういう女を縛り、痛めつけ犯したとき、最高の気分になる。
そういう女と言えば・・・
今、私は、ふと或る女を思い出した。
有希子のことを言う前に、それを書かずには居られない。
その女とは小学校の教頭をしている女だった。
私がいつものスナックで飲んでいるときである。
そこは品があり洒落た店で、結構女性の客も少なくない。
それほど広くないが、淡い照明でどことなくムードが良い。
そんな雰囲気の中、私は一人で静かに飲むのが好きなのだ。
私は、いつものように一人でオンザロックを飲んでいた。
その日は週末であり結構混んでいて、
客は思い思いに雰囲気を楽しんでいる。
私がグラスの酒を傾けていると、私の隣に近づいた女がいる。
「あの、お隣に座って宜しいでしょうか・・」
ふと見ると、30半ばくらいの洒落た女が立っていた。
「あぁ、どうぞ」
私は無愛想に言った。
「すみません、席が一杯で空いていないものですから」
私が辺りを見回すと、広くもない店の中はいつの間にか客で溢れ、
立錐の余地もないくらいだった。
一人で時間を持て余していた私は、ふとその女に興味を持った。