第4章-12
それが弾みで、コーヒーカップは床に落ち、カチャリと音をさせ割れた。
思わず、客は有希子を見た。
(どうしたのかしら?)という驚きの眼をしていた。
有希子は、
まさか私がここでバイブレータを動かすなどとは思っていなかったのだろう。
女として感じやすい部分に当てられ、
そこを小刻みに刺戟されれば、どうなるか。
普通の女なら堪らず、有希子のよう悲鳴を上げるだろう。
それがこの喫茶店という公共の場所なら尚更である。
気が付いたウエイトレスが直ぐにやってきた。
「お客様、大丈夫ですか?」
コーヒーは床にこぼれ、有希子のスカートを汚した。
「あ、すみません、私の手が滑ってしまって」
有希子はしどろもどろだった。
私はそんな有希子を楽しんでいた。
私は心配げな顔をしているウエイトレスに言った。
「すみませんね彼女が、弁償しますよ」
「あ、いえ、大丈夫です、お客様、すぐにお掃除しますから」
しばらくしてテーブルと、床のコーヒーの汚れは取れた。
ウエイトレスは有希子のスカートの汚れに気が付き、
おしぼりを幾つか持ってきた。
「大丈夫ですか、お客様」
「あぁ、すみません」
有希子の頬は火のように赤くなっていた、
しかし、私のバイブレーターのスイッチは入ったままである。
有希子はその音が心配なのだろう、
それ以上に振動しているクリトリスへの責めを。
騒ぎはそれで収まったが、有希子の身体は快楽と戦っていた。
「ご主人様、ここを出たいです、早く・・あそこへ」
「どうしてかな?」
「でも、有希子は、ご主人様・・」
「感じてるんだろう」
「あん、はい、そうです、逝きそうです」